知的財産ニュース 韓国特許庁、「発明の日」60周年を迎え先祖の発明品に「名誉特許」を付与するための審査着手

2025年3月31日
出所: 韓国特許庁

李舜臣(イ・スンシン)将軍が発明した亀甲船(コブクソン)は特許登録できるか


#「亀甲船(コブクソン)」は、朝鮮水軍の主力艦である板屋船(パンオクソン)の上部に刀錐がびっしりと埋め込まれた蓋板をつけ、前部には龍の頭の形をした構造物を取り入れてそこから大砲が発射されるため、突撃戦に有効な軍艦だったという。これを特許性の観点からみると、その前には上部に蓋板を付けた船はなかったのだろうか。亀甲船は防衛産業の側面からみて通常の板屋船より機能が改善されて進歩性のある発明だったのだろうか。
#世界初の雨量計と知られている「測雨器(チュグギ)」は、石で作られた測雨台の上に円筒型の雨量計を取り入れたものである。これは、当時の技術水準では新規性があり、農業産業の側面からみて利用可能性のある発明だったのだろうか。

韓国特許庁は31日、「発明の日」※60周年を迎え、先祖発明家に尊敬の念を抱き業績を称えるために、亀甲船(コブクソン)や測雨器(チュグギ)など先祖の優秀な発明15点を選定し、名誉特許を付与するための審査業務を始めたと発表した。
※世界初の「測雨器」を発明した日(1441年5月19日)を記念する法定記念日

亀甲船、測雨器など先祖の優秀な発明15点を選定、特許審査に着手

特許庁は、審査官・先行技術調査機関および国立中央科学館などから先祖の発明品65点の推薦を受けた。この中で、各発明にある歴史的意義、技術性などを検討して亀甲船、測雨器、仰釜日晷、自撃漏など計15点の優秀な発明※を選定した。
※仰釜日晷(アンブイルグ、日時計)、挙重機(コジュンギ、重いものを持ち上げる機械)、測雨器(チャギョンヌ、水時計)、亞字房オンドル(アジャバンオンドル、暖房装置)、神機箭機火車(シンギジョンギファチャ、発射装置)、自撃漏(チャギョンヌ、水時計)、渾天時計(ホンチョンシゲ、天文時計)、風旗台(プンギデ、風向・風速観測器)、大東輿地図(朝鮮の全国地図)、飛擊震天雷(信管装置)、亀甲船(コブクソン、軍艦)、観象監観天台(天文観測器具)、鉛銀分離法(銀を抽出する技術)、石氷庫(ソッピンゴ、天然の冷蔵庫)、金属活字を活用した印刷方法

亀甲船など最終的に選定された優秀な発明について、その技術にかかる特徴や説明を明細書に作成して専門家の検討後、特許出願を行った。亀甲船は板屋船の上部に刀錐をびっしりと埋め込めた蓋板をつけて敵弾の攻撃から乗組員を守り、敵兵が入り込んで来るのを完全に遮断した革新的な軍艦であり、測雨器は西洋よりも200年早く発明した雨量計だと評価されている。

選定された先祖の優秀な発明について、技術分野別に分けて特許庁の審査官が、これまで世の中になかった新しい発明なのか(新規性)、従来の技術より改善され発展した発明なのか(進歩性)、日常生活や産業現場で実際に適用できる発明なのか(産業上利用可能性)などを総合的に検討後、4月末ごろ名誉特許を付与する予定だ。

先祖の優秀な発明に名誉特許証を発行、発明の日60周年イベント(2025年5月19日)にて特別展示会を開く

特許庁は特許査定された先祖の発明に対し名誉特許証を発行する計画だ。また、一部の発明品は、5月19日開かれる「発明の日」の記念式での特別展示館※にて独立有功発明者の発明品、韓国の産業発展に大きく寄与した発明品などと一緒に展示される予定だ。
※発明の日の記念イベント:2025年5月19日~20日 麻谷(マゴク)COEX4階ルウェストホール

今年の発明の日の記念イベントでは、先祖の発明品の展示だけではなく、発明有功者を褒賞する記念式および革新技術・未来世代カンファレンスなど、韓国における発明の過去・現在・未来を体験できるさまざまなイベントが開かれる。

特許庁の産業財産政策局長は「発明は昔の先祖の時代から今日にいたるまで我々の暮らしに深く関わってきた」とし、「今回のイベントが我が国の歴史の中のさまざまな発明への敬意を示し、現在と未来に向けて発明の重要性を改めて認識するきっかけになってほしい」と述べた。

ジェトロ・ソウル事務所知的財産チーム

ジェトロ・ソウル事務所 知的財産チームは、韓国の知的財産に関する各種研究、情報の収集・分析・提供、関係者に対する助言や相談、広報啓発活動、取り締まりの支援などを行っています。各種問い合わせ、相談、訪問をご希望の方はご連絡ください。
担当者:大塚、李(イ)、半田(いずれも日本語可)
E-mail:kos-jetroipr@jetro.go.jp
Tel :+82-2-3210-0195