知的財産ニュース 先進5か国のうち、韓国が国際特許出願(PCT)伸び率トップ

2025年3月31日
出所: 韓国特許庁

27年間着実に増加…上位5社に韓国企業2社、上位20校に韓国大学4校がランクイン

韓国特許庁は、2024年韓国の国際特許出願(PCT)※が前年(2023年)比7.1%増加し、2020年にドイツを抜いて5位から4位となって以降、5年連続世界4位※※を占めていると発表した。とりわけ、前年比国際特許出願(PCT)伸び率は、米国(-2.8%)、中国(0.9%)、日本(-1.2%)、ドイツ(-1.3%)など知財先進5か国の中で最も高いことがわかった。
※国際特許出願(Patent Cooperation Treaty):一つの国際特許出願を行うことで複数の国で同時に出願した効果を与える制度
※※韓国のPCT出願ランキング:5位(2010年~2019年)→4位(2020年~2024年)

世界知的所有権機関(WIPO)によると、2023年に減少※していた世界全体のPCT件数が1年で増加に転じ(273,900件、前年比0.5%)、マドリッド制度による商標出願(65,000件、前年比1.2%)とハーグ協定による意匠出願(9,454件、前年比10.3%)のいずれも増加し、世界の多くの企業が海外市場で自社製品の保護・事業化を図るために国際出願を多く利用していることがわかった。
※2023年PCT件数は272,420件と2022年比-1.8%

韓国のPCT件数、27年間着実に増加傾向…5年連続世界4位

韓国のPCT件数は1998年から27年間着実に増加傾向にあり、2024年23,851件(前年比7.1%)となり、中国、米国、日本に次ぎ5年連続4位を占めている。上位5位内に韓国、中国(70,160件、前年比0.9%)を除き、米国、日本、ドイツの出願はいずれも減少し、韓国の伸び率が知財先進5か国のうち最も高いことがわかった。

出願人でみると、出願件数の多い上位5位内にサムスン電子(2位、4,640件)とLG電子(4位、2,083件)の韓国企業2社、ファーウェイ(1位)とCATL(5位)の中国企業2社、米国企業クアルコム(3位)がランクインしている。

サムスン電子は、PCT出願件数が前年比18.2%増加し、世界上位10位企業の中で最も高い伸び率となり、LG電子の昨年6位から2位上昇した4位となっている。

大学によるPCT出願上位20位内に韓国大学は、ソウル大学(5位)、漢陽(ハニャン)大学(15位)、高麗(コリョ)大学(18位)、延世(ヨンセ)大学(20位)など4校がランクインしている。

韓国、マドリッド制度による商標出願9位、ハーグ協定による意匠出願3位

2024年マドリッド制度を利用した国際商標登録出願において、韓国企業による出願件数は2,346件(前年比12.1%)と前年と同じく9位となり、2020年以降この5年間平均伸び率において上位10位国の中で唯一、二桁の伸びとなっている。

2024年ハーグ協定による国際意匠登録出願においては、韓国の出願は892件(前年比8.1%)と、中国と米国に次ぎ3位(前年と同じ)となり、ドイツ(4位)、フランス(5位)、スイス(6位)、イタリア(7位)、日本(8位)の順である。

韓国特許庁は、海外に進出しているか進出を希望する韓国企業を対象に海外での知財権確保や紛争の調停を支援するために、韓国特許庁-世界知的所有権機関(WIPO)間の人材交換プログラムにより、韓国特許庁に初めて派遣されたWIPO本部の職員と協力して関連制度について頻繁に説明会を開いている。また、海外に進出している韓国企業をサポートするために8か国10か所に海外知識財産センターの拠点を設け、40か国の現地において知財権の相談や法律相談サービスを提供している。
※2024年12月4日水曜日、WIPOサービス説明会、2025年2月5日水曜日、WIPO紛争調停サービス説明会

特許庁の産業財産保護協力局長は「2024年韓国企業による国際出願が増加したのは、韓国企業の革新的なアイデアの賜物である知財権を海外市場で保護するために積極的に取り組んできた成果であると思う」とし、「特許庁は韓国企業が『名品特許』を基に海外市場をリードしていく知財エコシステムをつくるために努力する」と述べた。

ジェトロ・ソウル事務所知的財産チーム

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