知的財産ニュース バイオ・先端ロボット・AI技術の特許出願を優先審査対象に指定
2025年2月19日
出所: 韓国特許庁
先端技術分野の特許出願最短2月内に処理、カーボンニュートラル・グリーン技術の優先審査対象の拡大、申請手続き要件の簡素化
韓国特許庁は2月19日水曜日から、半導体、ディスプレイ、二次電池分野に続きバイオ・先端ロボット・人工知能(AI)分野を優先審査対象に新しく指定し、二次電池分野においても適用範囲を拡大すると発表した。
カーボンニュートラル・グリーン技術の優先審査においてもこれまでの二酸化炭素の回収技術に加えて、国家戦略技術関連や再生可能エネルギー分野などに拡大する。韓国企業の迅速な権利確保を支援するために優先審査対象を大幅拡大する。
先端技術の優先審査の範囲拡大:(新規指定)バイオ・先端ロボット・AI、(再指定)二次電池
特許庁は2022年から国民経済や国家競争力に直接関わる先端技術に係る出願を優先審査対象に指定している。半導体(2022年11月~)、ディスプレイ(2023年11月~)、二次電池(2024年2月~)に続き2月19日からバイオ、先端ロボット、AI分野を優先審査対象に新しく指定する。これにより、4大国家先端戦略産業のすべてが優先審査の対象になる。
今回指定された優先審査対象は、バイオ、先端ロボット、AI技術に直接関わる出願であって、CPC※が主分類に付与されており、国内生産または生産準備中の企業、国家研究開発事業の結果物または特性化大学による出願が対象となる。
※CPC(Cooperative Patent Classification):発明の技術分野を分けた特許分類体系であり、特許文献の分類、検索を容易にするために韓国へのすべての出願に付与している
二次電池分野の優先審査については指定期間の満了により適用範囲を拡大※して再指定する。二次電池分野の優先審査対象は、二次電池の素材・部品・装置、製造または設計、性能の検査・評価、マネジメントシステム(BMS※※)またはリサイクル技術に係る出願であって、国内生産または生産準備中の企業、国家研究開発事業の結果物または特性化大学による出願が対象となる。
※(従来)二次電池の素材・部品・装置、製造または設計→(拡大)従来分野+性能の検査・評価、マネジメントシステム(BMS)またはリサイクル技術
※※BMS(Battery Management System):バッテリーマネジメントシステム
カーボンニュートラル・グリーン技術の優先審査の範囲拡大
これまでは温室効果ガスの削減を図る二酸化炭素の回収・輸送・貯蔵技術に限られていた優先審査対象を、次世代原子力、再生可能エネルギー技術などカーボンニュートラル・グリーン技術の全般に大幅拡大する。具体的には、水素・アンモニア、次世代原子力(小型モジュール炉(SMR)、高レベル放射性廃棄物の管理など)、先端モビリティ(EV、水素EVなど)など国家戦略技術に関する分野が追加され、再生可能エネルギーの生産技術(太陽光、風力、水力、海洋エネルギー、地熱、水熱など)が追加される。当該技術に関連するカーボンニュートラル・グリーン技術の特許分類が付与された特許出願が優先審査対象である。
優先審査の申請要件の緩和
積極的な行政活動の一環として韓国企業が優先審査をより簡単に利用できるよう、優先審査の申請手続きおよび要件を簡素化する。まず、煩雑な記載事項によりユーザーに大きな負担となっていた独自の先行技術調査要件を必須要件から削除した。
韓国企業が最も多く申請する優先審査の類型である「自己実施による優先審査」(2024年12月時点、全体の32.6%)の申請要件を緩和する。これまで実施したか、若しくは、実施準備中であることを立証するためには必ず事業者登録証を提出する必要があったが、これからは技術移転契約書などの提出でも申請できる。とりわけ、大学、公共研究期間の場合は技術移転契約書のみで実施準備中であることが立証可能になるため、より簡単に優先審査制度を利用することができると期待される。
特許庁長は「目まぐるしく変化する技術競争時代において迅速な権利確保が最も重要である」とし、「特許庁は国家先端戦略産業およびカーボンニュートラル分野で韓国企業がイノベーションをリードできるよう、引き続き支援策を探っていく」と述べた。
優先審査の対象や詳細については、特許庁ウェブサイトにて確認できる。
※(先端技術の優先審査)特許庁ウェブサイト>お知らせ>公示公告>公告文の確認
※(カーボンニュートラル分野の優先審査)特許庁ウェブサイト>知的財産制度>主要制度>特許/実用新案制度>特許優先審査制度>※優先審査対象のカーボンニュートラル・グリーン技術の特許分類の確認
ジェトロ・ソウル事務所知的財産チーム
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