知的財産ニュース 故意による商標権・デザイン権の侵害に対する懲罰的損害賠償を3倍から5倍に引き上げへ…改正商標法・デザイン保護法を公布

2025年1月20日
出所: 韓国特許庁

改正商標法・デザイン保護法1月21日火曜日公布、6か月後施行へ

今年7月22日火曜日から故意による商標権・デザイン権の侵害の場合において懲罰的損害の賠償の限度が5倍(3倍→5倍)に引き上げられる。特許・営業秘密の侵害およびアイデアの奪取行為に続き商標・意匠の分野においても5倍の懲罰賠償制度が導入されることで、知財権の全般にわたり保護の水準が向上すると期待される。

韓国特許庁は、上記の内容を盛り込んだ改正商標法とデザイン保護法が1月21日火曜日公布され、6か月後の7月22日火曜日から施行されると発表した。

故意による商標権・デザイン権の侵害時には世界最高水準の5倍懲罰賠償へ

今回の改正案は、故意により商標権やデザイン権を侵害した場合、損害として認められた金額の「最高3倍」まで賠償するという規定を「最高5倍」に引き上げる。昨年、導入された(2024年8月21日)特許法と不正競争防止法における特許・営業秘密の侵害およびアイデアの奪取行為に対する5倍の懲罰的損害賠償制度を商標と意匠分野まで拡大する。

今回の懲罰的損害賠償の限度の拡大は、悪意的な商標権・デザイン権の侵害を防止し、被害救済の実効性を確保するための措置である。これまで知財権の侵害が根絶されない理由には、知財権に対し正当な価格を支払うより侵害行為により得る利益の方が大きいためだと指摘されてきた。実際に特許法がまとめた韓国国内におけるネット上の模倣品取り締まり活動の業績をみると、2020年137,382件から2024年272,948件とこの5年間で2倍増えるなど模倣品の流通が急増していることから、より強力な権利保護対策が求められている。

懲罰賠償限度5倍は主要国と比べても最も高い水準である。主要国の場合、日本は商標権・意匠権の侵害に対する懲罰的損害賠償制度を設けていなく、米国はデザイン権の侵害については最高3倍までの懲罰賠償制度を施行しており、商標権の侵害については制度がない。最高5倍まで損害賠償となる国には現在のところ、中国が唯一※である。
※商標、営業秘密:2019年導入/特許、実用新案、デザイン権:2021年導入

知財権の全般にわたる「懲罰賠償限度5倍」の導入により、知財権の保護水準を高める

今回の改正は、最近、特許・営業秘密のみならず、知財権の全般にわたって侵害による被害の深刻性が増しているとのコンセンサスが得られたためだと思われる。「最高5倍」の懲罰賠償制度を特許・営業秘密の侵害およびアイデアの奪取行為から商標・デザイン権の侵害行為まで拡大して適用すれば、韓国において知財権の全般にわたって保護の水準が一層高まる効果が期待される。

特許庁長は「今回の改正により、商標・デザイン権の侵害に対するより実効的な権利救済が可能になる」とし、「懲罰的損害賠償制度が有効に機能するためには、侵害行為に対する故意性の立証が必要であり、そのためには証拠収集が先に行わなければならないことから、韓国型証拠収集など制度の改善を積極的に推進する」と述べた。

ジェトロ・ソウル事務所知的財産チーム

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