知的財産ニュース AIロボット技術の特許出願件数、LG電子が世界トップ
2025年1月6日
出所: 韓国特許庁
AIロボット技術の特許出願件数、世界的に10年間年平均58.5%ずつ急成長
#最近、大規模言語モデル(LLM)と模倣学習などの人工知能(AI)技術とロボット技術の融合により、AIロボット市場が急成長している。世界のAIロボット市場は、2023年約10.9兆ウォン(78.0億ドル)から年平均35.7%増え、2032年には147.8兆ウォン(1057.7億ドル)規模に達すると見込まれている※。この背景から、世界的な大手IT企業の市場進出が本格化している。
※SNS Insider、「Artificial Intelligence Robots Market」、2024
韓国特許庁が世界の主要国特許庁(IP5:韓国、米国、中国、欧州連合、日本)に出願された人工知能(AI)技術が実際に採用されたロボット関連特許出願を分析したところ、この10年間(2012年~2021年)の間、年平均58.5%ずつ増え、2012年には20件にとどまっていた出願件数が2021年には1,260件に達していることがわかった。
国別の出願の動向:韓国、10年間における出願件数および出願伸び率2位
出願人を国別でみると、1位が中国60%(3,313件)と最も多く、2位韓国24.7%(1,367件)、3位米国8.1%(446件)の順となっている。この10年間における年平均の伸び率をみると、中国が59.7%とAIロボット分野の特許出願件数をリードしており、韓国は53.4%と2位である。
技術分類別の動向:教育、医療など応用分野に基づいたAI技術が多い
採用されたAI技術を分析してみると、教育、エンターテインメント、医療などさまざまな分野にロボットを採用した応用分野の制御技術が53.6%(2,962件)と1位を占めている。2位はロボットが物体を認識・操作する外部環境との相互作用技術で33.8%(1,869件)、3位は学習によりロボットの動きを制御する駆動制御技術で12.6%(694件)となっている。
主要出願人:LG電子が1位…同分野で特許権利化に積極的に取り組む
出願人を分析すると、1位韓国のLG電子(18.8%、1,038件)による出願件数が最も多く、2位は日本のFANUC(1.8%、97件)、3位は中国の華南師範大学(1.5%、83件)の順である。LG電子は掃除ロボット、サービスロボット、物流ロボットに物体認識と音声認識のためのAI技術を採用して国内外で積極的な権利化に力を入れていることがわかった。また、韓国のサムスン電子は8位(0.7%、41件)であり、AIロボット分野において韓国企業の成長ぶりがうかがえる。
LG電子IPセンターのシン・チャソンチーム長は「自社は2017年からロボットおよびAI分野で研究開発など事業を本格的に運用し、特許権の先取りやポートフォリオの確保に向けて取り組んできた結果、関連分野での特許出願件数が2019年には非常に多くなった」と述べた。
特許庁の知能型ロボット審査課長は「AIロボットに係る特許出願において応用分野の制御技術が急増していることがわかった」とし、「中国の出願は自国内の件数が大半であり、テスラなど世界の主要企業による特許出願件数が少ない傾向にあるため、外部環境との相互作用技術と駆動制御技術に力を入れてこれまでの通り積極的な権利化を目指せば、韓国がAIロボット分野において多くの特許権を確保し市場の優位に立つチャンスになると思う」と述べた。
ジェトロ・ソウル事務所知的財産チーム
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