知的財産ニュース 韓国特許庁と大田(テジョン)地裁、「法院-調停連携制度」の実施に向けたMOU締結

2024年12月26日
出所: 韓国特許庁

特許・商標など産業財産権の紛争、訴訟より調停による迅速な解決へ

知的財産分野における法院(裁判所)-調停連携制度を運営する法院がソウル、水原(スウォン)に続き大田(テジョン)地方法院まで拡大される。特許庁長と大田地方法院は12月24日火曜日、大田地方法院(大田市西区所在)にて「法院-調停連携制度※」の実施に向けた業務協約を締結したと発表した。
※裁判所に係属中の事件を外部専門調停機関に回付して処理する制度

「法院-調停連携制度」を大田地方法院まで拡大、迅速な紛争解決を図る

今回の業務協約は、特許庁産業財産権紛争調停委員会が運営する「法院-調停連携制度」をソウル中央地方法院、水原地方法院に続き大田地方法院まで拡大する内容である。これにより、産業財産権紛争調停委員会は全国各地で訴訟中の知的財産権をめぐる紛争について迅速な解決を支援する土台を作る。
※2016年特許権など訴訟管轄集中の施行により、特許・商標・実用新案・意匠・新品種保護権に係る民事訴訟第一審はソウル(中央地方法院)・水原(スウォン)・釜山(プサン)・大田(テジョン)・大邱(テグ)・光州(クァンジュ)の6つの地方法院が担当

大田地方法院が、知財分野の専門性が求められ、調停による解決が適合する事件を特許庁産業財産権紛争調停委員会に連携すれば、紛争調停委員会事務局が当該分野の専門家3名からなる調停部を作り、調停手続きを行う仕組みである。

産業財産権紛争調停委員会に回付した事件の紛争処理期間は平均3月であり、追加の費用が掛からないため、調停が成立した場合、訴訟にかかる費用や時間を削減できるメリットがある。また、多くのユーザーの不便を解消するために、これまでソウルでのみ開かれた調停会議が大田でも開かれることとなった。

ほかにも、両機関は調停制度の発展や活性化を図るために、教育分野の協力や調停関連資料や情報を共有するなど積極的に連携していく考えだ。

特許庁産業財産権紛争調停制度、この5年間申請件数3倍増

産業財産権紛争調停委員会は、特許庁が知財紛争を迅速かつ経済的に解決できるよう支援するために1995年に立ち上げ。別途費用がかかることなく専門家による調停の結果が得られるため、個人・中小企業からの申請が全体件数の9割を占めるなど、経済的に豊かな環境にない個人・中小企業から高い関心を得ている。

全体の申請件数も増加傾向にある。2019年には45件にとどまっていたが、今年は11月時点145件の申請があった。大田地方法院と連携体制が作られる来年は申請件数がさらに増えるとみられる。

訴訟中の事件でなくても産業財産権などをめぐる紛争で相談が必要なときも申請できる。産業財産権紛争調停委員会事務局外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますから申請書をダウンロードし、事務局(電話:1670-9779)にて詳しい内容を相談できる。

大田地方法院長は「大田地方法院と特許庁間の業務協約は、知財権紛争解決において重要なきっかけになると思う」とし、「今回の協約により、知財権紛争事件がより専門的かつ効率的に解決できると期待する」と述べた。

特許庁長は「知財事件の民・刑事訴訟第一審の管轄集中地として検討されている大田地方法院と業務協約を締結したことを大変嬉しく思う」とし、「裁判所に係属中の知財紛争が調停により迅速に解決できるよう、法院-調停連携制度を拡大していく」と述べた。

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