知的財産ニュース 韓国政府のカーボンニュートラルプロジェクト「ネットゼロチャレンジX」に参加するスタートアップを募集

2024年12月16日
出所: 韓国特許庁

気候技術保有のスタートアップがユニコーン企業に成長するよう手厚く支援する!

□2050カーボンニュートラル・グリーン成長委員会(委員長:ハン・ドクス国務総理、ハン・ファジン共同委員長)は2024年12月17日、国レベルのカーボンニュートラルプロジェクトである「ネットゼロチャレンジX」の第一歩に向けた統合公告を出した。

○「ネットゼロチャレンジX」は、温室効果ガスの削減および気候危機の適応分野である、いわゆる「革新技術」を保有するスタートアップを選定してユニコーン企業に成長できるようさまざまな特典を提供することにより、カーボンニュートラルに寄与し、グリーン成長を強化する目的である。

○したがって、カーボンニュートラル・グリーン成長委員会は9月24日、スタートアップの育成や投資、支援などを担当する企業、機関、部処など(以下、「参加機関」)と業務協約および発足式を開き、参加機関と共にプロジェクトを企画した。

ネットゼロチャレンジXの参加機関および活動内容
Tier 参加機関(2024年12月16日時点) 活動
1 [育成、ファーストアップ]育成を希望するスタートアップを選定
科学技術事業化振興院、技術保証基金、信用保証基金、LGサイエンスパーク、SKテレコム、特許庁
選定および創業・事業化への支援(育成、投資など)
同上 [投資、スケールアップ]投資誘致を希望するスタートアップを選定
ソプンベンチャース、アイエム投資パートナーズ、SJ投資パートナーズ、エー・ストーンベンチャーズ、Envisioningパートナーズ、インフラフロンティア資産運用
同条
2 信用保証基金、アサンナヌン財団、創業振興院、韓国環境産業技術院、現代自動車チョン・モング財団 追加支援(創業パッケージ、入居スペースなど)
3 技術保証基金、大韓商工会議所、信用保証基金、新韓銀行、銀行圏青年創業財団、韓国ベンチャー投資、韓国産業銀行、韓国成長金融、韓国環境公団、科学技術情報通信部、環境部、中小ベンチャー企業部、金融委員会、調達庁、特許庁 共通の間接的支援(規制サンドボックス、公共調達、グリーン金融、保証、特許など)

□「ネットゼロチャレンジX」はカーボンニュートラル・グリーン成長委員会と参加機関が統合フレームワーク※の下で共同推進し、今回の統合公告により2025年1月から各参加機関の日程に合わせて「ネットゼロチャレンジX」企業を選定・支援する手続きに入る。
※(1)「ネットゼロチャレンジX」共同ブランド、(2)事業推進の日程と手続き(統合公告・プラットフォーム、機関別の公告・応募受付など)、(3)カーボンニュートラル寄与度の評価、(4)選定されたスタートアップ向けTier2(追加育成)、Tier3(共通の間接的支援)の共有適用など

□選定および事業化を支援する機関(Tier1)は、これまで実施してきた「育成」中心事業の化学技術事業化振興院、技術保証基金、信用保証基金、LGサイエンスパーク、SKテレコム、特許庁と、「投資」中心の民間投資会社6社の合計12の機関である。(1)(2)

○各機関は革新技術やアイデアを保有するスタートアップおよび予備創業者(チーム)などを選定し、創業および事業化を支援する計画だ。

選定および事業化への支援の参加機関(Tier1)
区分 参加機関 事業内容・支援事項
ファーストアップ(育成) 科学技術事業化振興院 ▪有望技術を有望する大学の実験室(「革新創業実験室」)を対象にR&BD、事業モデルの確立など実験室向け創業の準備への支援
同上 技術保証基金 ▪スタートアップ向けアクセラレーティングおよび金融・非金融の総合支援
同上 信用保証基金 ▪アクセラレーティング、保証支援の連携、U-CONNECT(投資家マッチングプログラム)連携、入居スペースの提供など支援
同上 LGサイエンスパーク ▪カーボンニュートラル、気候技術分野のスタートアップを選定、事業化および投資促進への支援
同上 SKテレコム ▪潜在力のある優秀なスタートアップの選定・成長に取り組んでいるSKTおよびSKグループ関係者との連携への支援
同上 特許庁 ▪企業が開発するカーボンニュートラル技術・製品について一般国民からのアイデア・特許情報を活用した製品の高度化およびIP戦略への支援
スケールアップ(投資) 民間投資会社6社※ ▪カーボンニュートラル・グリーン成長、気候技術分野のスタートアップを選定し、直接投資、投資促進、事業化など支援

※ソプンベンチャース、アイエム投資パートナーズ、SJ投資パートナーズ、エー・ストーンベンチャーズ、Envisioningパートナーズ、インフラフロンティア資産運用

○2025年1月から各機関による個別公告を出し、「技術・事業化の優秀性」について各機関が審査し、「カーボンニュートラル寄与度※」についてはカーボンニュートラル・グリーン成長委員会が運営するカーボンニュートラル寄与度評価委員会により審査・評価が行われる。
※カーボンニュートラルを達成するために温室効果ガスの削減または気候危機への適応に対する寄与度

○これにより選定されたスタートアップは、育成または投資の支援を受け、次のステップである追加保育(Tier2)または共通の間接的支援(Tier3)の対象になる。また、年末の成果共有会で対象企業を励まし、プロジェクトの運営について参加機関とフィードバックを実施する。

「ネットゼロチャレンジX」の主要手続き

2024年12月に統合プラットフォームにて統合公告を出す。2025年1月~6月(予定)には各機関による公告・受付と評価・選定が行われる。各機関ウェブサイトなどで情報が確認できる。評価・選定の内容は、技術・事業性の評価または投資審議、カーボンニュートラル寄与度の評価である。評価はカーボンニュートラル・グリーン成長委員会が運営するカーボンニュートラル寄与度評価委員会を行う。2025年7月からは育成・投資、追加育成、共通支援の各事業が行われ、参加企業向け特典も提供される。最後に、2025年12月まで成果を共有する場を設け、各期間による成果の発表およびフィードバックが行われる。

□一方、Tier1機関により選定されたスタートアップは、育成・投資を受けた後、追加の育成を希望する場合には優先選定、書類審査の免除、加算点の付与などにより追加育成の支援を受けることができる。

追加育成支援の参加機関(Tier2)
区分 事業内容・支援事項
信用保証基金 ▪投資機関(AC、VCなど)を対象にIRピッチングおよび専門審査委員からのフィードバック、投資家とのネットワーキングの提供
▪信用保証および連携投資の検討、優秀な企業への授賞
アサンナヌン財団 ▪MARU創業育成スペースに入居支援時に書類選考の加算点の付与
創業振興院 ▪予備・初期・跳躍の創業パッケージ支援事業の応募者を対象に特典の提供
韓国環境産業技術院 ▪エコースタートアップ事業の参加者に特典の提供
▪創業資金(最高2億ウォン)および力量強化プログラムの提供(創業教育、メンタリング、IRなど)
現代自動車チョン・モング財団 ▪成長段階別に応じたコンサルティング、財政支援(最高1億5,000万ウォン)、コーワーキングスペースの支援

□また、Tier1機関により選定されたスタートアップは、規制の特例、公共調達、グリーン金融、保証、メンタリング・ネットワーキング、IP統合ソリューションなど個別企業の状況に応じて事業成長に必要なさまざまな支援を受ける。

追加育成支援の参加機関(Tier3)
支援分野 事業内容・支援事項
規制サンドボックス ▪実装特例に係る課題の選定時に事業費の支援など後続支援措置の優遇(環境部など関係部処)
公共調達 ▪スカウター連携による革新製品の指定に関する検討、ベンチャーナラ審査時に加算点の付与、調達市場進出の教育および展示会・相談会・説明会の支援(調達庁)
グリーン金融 ▪貸出優遇支援(韓国産業銀行、新韓銀行)
グリーン保証 ▪「グリーン保証」プログラムの対象企業に選定し、保証割合、保証料の減免など保証優遇支援(技術保証基金、信用保証基金)
IP統合ソリューション ▪選定企業(チーム)向け特許情報基盤R&Dおよび製品化戦略、IPコンサルティング、特許紛争への対応策の支援優遇(特許庁)
メンタリング・ネットワーキング ▪追加のメンタリング・ネットワーキング・IR(投資誘致など)を希望するスタートアップに機会の提供(銀行圏青年創業財団、韓国ベンチャー投資、韓国成長金融、信用保証基金など)

□統合公告および同プロジェクトの詳細については、カーボンニュートラル・グリーン成長委員会が運営する「ネットゼロチャレンジX」統合ウェブサイト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますと各参加機関ウェブサイトにて確認できる。

○予備創業者(チーム)またはスタートアップであれば申し込みが可能であり、各機関によって応募資格が異なるため詳細については2025年1月に出される各機関による個別公告を確認する必要がある。

□ハン・ファジンカーボンニュートラル・グリーン成長委員会共同委員長は「世界的にカーボンニュートラルの目標達成を求める声が高まっている」とし、「気候技術分野のイノベーションとその商用化を図ることで実質的な変化を導くスタートアップのチャレンジ精神が求められている」と強調した。

○また、「官民がワンチームになって気候技術を保有するスタートアップを支援する、国レベルの支援体系である今回のプロジェクトは、韓国がカーボンニュートラル・気候技術の大国として跳躍する新しいチャンスになると信じる」とし、「今回の統合公告に革新的なアイデアと技術力を保有するスタートアップが積極的に応募してくれることを期待する」と述べた。

○「『ネットゼロチャレンジX』プロジェクトはオープン型であるため、関心のあるアクセラレーター、投資家からの多くの関心を期待する」と述べた。

ジェトロ・ソウル事務所知的財産チーム

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