知的財産ニュース 海外販売業者による模倣品流通への取締強化に向けた「商標法改正案」が国会で成立

2024年12月3日
出所: 韓国特許庁

商標権者と購入者への被害を防止、安全かつ公正な市場環境づくりに期待


韓国企業の商標権を侵害する世界の模倣品規模は約11兆ウォン、売上高の損失は約7兆ウォン(2021年時点)

-経済協力開発機構(OECD)、不法貿易と韓国経済のレポート(2024)

韓国特許庁は、海外販売評者が韓国国内に持ち込む模倣品への取り締まりを強化するための「商標法の一部改正案」が12月3日火曜日、国務会議で議決されたと発表した。

ここ5年間、消費者が海外から直接商品を購入する「海外個人輸入(海外直接購入)」が急増※したことで韓国に流入される模倣品の数が増えている。また、世界的に韓国のコンテンツや製品への人気が高まっている影響から海外で製造された韓国ブランドの模倣品が韓国内に流入されるケースも増えており、韓国企業への被害が大きくなっている。
※海外個人輸入の現況(千件):(2020年)63,575→(2022年)96,120→(2024年9月)133,643(関税庁、2024年11月7日)
※※模倣品の流入(万件):(2019年)3.1→(2022年)4.5(2021年・2023年、関税庁の知的財産権侵害取締りに関する年間統計報告書)

今回の商標法改正は、このような市場の変化を反映して消費者の個人輸入により海外から流入される模倣品に有効に対応するために進められた。

商標法上「商標の使用」の下位の行為類型として第2条第1項第11号ハ目「外国において商品又は商品の包装に商標を表示した物について運送業者等他人を介して国内に供給する行為」を追加した。商標権侵害の前提となる「商標の使用」に供給行為を追加することで、海外から国内に配送される模倣品について商標法上の商標権侵害物品として取り扱うようにしている。

これまで海外から流入された模倣品の一部では重金属など有害物質が適正の基準値以上に検出されたため※、今回の商標法改正案は国民の健康や安全の確保にも寄与すると思われる。
※激安アクセサリー(イアリング、指輪など)404点のうち96点(24%)から韓国国内の安全基準値を超えるカドミウム、鉛など発がん物質が検出(関税庁、2024年4月)

今回の商標法改正案は大統領による裁可後、国会に提出され審議・議決手続きが行われる予定である。

特許庁の商標デザイン審査局長は「最近海外から流入される模倣品により韓国商標への信用や消費者の安全が脅かされている」とし、「今回の改正が国内の商標権者の権利を有効に保護し、健全な消費環境を定着させることにつながると期待する」と述べた。

ジェトロ・ソウル事務所知的財産チーム

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