知的財産ニュース 500万番目のPCT国際出願の公開特許公報は「サムスン電子」のスマホカメラの画質改善関連技術

2024年12月2日
出所: 韓国特許庁

韓国は加盟国全体で出願件数4位、サムスン電子は出願人全体で2位…特許大国を証明する事例

韓国特許庁は2日、世界知的所有権機関(以下、WIPO)がPCT(特許協力条約)※に基づく国際特許出願の500万番目の国際公開公報※※にサムスン電子による出願(PCT/KR2024/095488)を公開※※※したと発表した。
※Patent Cooperation Treatyの略語で、1970年に締結され1978年に発効した国際特許条約
※※PCT制度を運営するWIPOは、国際出願された技術の公開により企業などの重複投資を防ぐために、通常、出願後18か月以内に国際公開公報により発明を公開
※※※1978年PCT発効後、2004年100万件、2011年200万件、2017年300万件、2020年400万件に達し、その後4年で累積500万件の出願について公開公報を発行

サムスン電子「画像の処理装置及び処理方法」…国際公開公報500万号

サムスン電子が国際出願した発明である「画像を処理する装置及び画像の処理方法」は、スマートフォンのカメラで撮影する際に歪みなく鮮明に写真が撮れる技術で、ブレを補正する際に焦点が合わなくなる問題を改善する方法に関する内容である。サムスン電子は世界で国際出願件数2位(2023年時点)を誇る世界的な企業であり、サムスン電子をはじめ、多くの韓国企業が積み重ねてきた技術開発や革新に向けた取り組みの成果である。

現在158か国が加盟している特許協力条約(PCT)は、一つの国際特許出願を行うことで複数の加盟国で同時に出願した効果を与える制度であり、出願人が特許登録を希望する国で国内審査の手続きに入る前に特許性について判断を受けることができるため、コスト削減や手続きの簡素化を図ることができる。このようなメリットから世界の特許出願の約6割(残りは個別国に直接出願)は特許協力条約(PCT)制度を使って出願されている。

韓国、PCTによる出願件数が世界4位…サムスン電子2位、LG電子6位

韓国は1984年に特許協力条約(PCT)に加盟以降40年間国際出願件数が増加し2020年以降から出願件数で世界4位※を占めている。とりわけ、2023年時点、国際出願件数上位10位の出願人にサムスン電子(2位、3,924件)とLG電子(6位、1,887件)がランクインし、出願件数の多い世界の大学の順位においてもソウル大学(7位)と高麗大学(11位)が目立つ。
※2023年時点、中国(69,610件)、米国(55,678件)、日本(48,879件)、韓国(22,288件)、ドイツ(16,916件)

韓国は特許協力条約(PCT)制度の分野で存在感を高めてきたが、1997年には韓国特許庁の審査能力が認められ国際調査機関(ISA)※に指定され、2005年には韓国特許文献がPCTの最小限資料(国際調査機関による国際調査時に先行技術調査のために行う最小限の文献範囲)に含まれた。また、2007年には世界知的所有権機関(WIPO)の総会で韓国語が国際公開言語※※に採択され、韓国出願人が韓国語で国際出願願書を作成できるようになった。
※International Searching Authority:国際出願された発明に関する先行技術を調査して特許性を検討する機関(特許庁)
※※国際公開公報に使われる言語で、過去には英語、フランス語、ドイツ語、日本語、ロシア語、スペイン語、中国語、アラブ語など8つの言語のみ可能であった(韓国は英語、日本語)

WIPOのダレン・タン事務局長は、国際公開公報の500万番目の主人公となったのが韓国企業であることに注目し「韓国はPCT制度を活用してイノベーション、テクノロジー、クリエイティビティによる経済変化を見せた国である」とし、「知財基盤のイノベーションが人類の発展を率いるエンジンになることを韓国が示している」と強調した。

韓国のキム・ワンギ特許庁長は「韓国企業が国際公開公報500万号の主人公になったことは、量だけではなく質においても韓国特許の優秀さを誇ることだと思う」とし、「特許庁は韓国企業が多く活用しているPCT制度の課題を解決できるよう、WIPOにおける制度改善の議論に積極的に参加し、PCT制度を利用している中小企業・スタートアップを対象に海外市場への進出を支援することで、韓国経済の持続的な成長を支えていく」と述べた。

ジェトロ・ソウル事務所知的財産チーム

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