知的財産ニュース 世界的にIoT関連標準必須特許の出願件数が急増…韓国がトップ
2024年12月2日
出所: 韓国特許庁
サムスン電子、LG電子による特許出願件数が2,4位と上位にランクイン
#2022年時点、全世界で約170億台に至るモノのインターネット(IoT)デバイスが使われていると推算され、2025年には220億台に達すると見込まれる※。市場規模額では5,548億ドルに達する。この背景からIoTの実現に欠かせない移動通信標準化プロジェクト(3GPP)基盤のIoT標準必須特許への関心が高まっている。
※IoTの技術開発および産業分野別の導入現状と国別・企業別の対応戦略、IRSGlobal、2023
3GPP基盤のIoT標準必須特許の出願件数、10年間約5倍増
韓国特許庁はこの10年間(2012年~2021年)、主要国特許庁(IP5:韓国、米国、日本、中国、欧州)に出願された移動通信標準化プロジェクト(以下、3GPP※)基盤のIoT標準必須特許について分析した結果を発表した。特許庁によると、移動通信標準化プロジェクト(3GPP)基盤のIoT標準必須特許における出願件数は2012年2,401件から2021年12,110件と約5倍以上増えていることがわかった。
※3GPP(3rd Generation Partnership Project):移動通信標準化プロジェクトで、3GPP基盤の特許は3GPPが制定した標準を基に出願された特許のことをいう
国別の出願動向:韓国の出願件数伸び率がトップ(25%)
全体の71,265件のうち韓国籍による出願件数は19.1%(13,615件)と3位である。1位と2位は中国(33.1%、23,601件)と米国(25.9%、18,482件)であり、日本は韓国に次ぐ4位(9.5%、6,790件)である。韓国の出願件数伸び率は25%と主要国の中で最も高く日本との格差はさらに広がるとみられる。
主要出願人:サムスン電子、LG電子が2、4位で上位にランクイン…1位はクアルコム
出願件数が多い順でみると、サムスン電子(6,181件、16.3%)、LG電子(5,219件、13.7%)がそれぞれ2位と4位で上位にランクインした。1位はクアルコム(8,094件、21.3%)、3位はファーウェイ(5,935件、15.6%)、5位はエリクソン(3,164件、8.3%)となっている。サムスン電子とLG電子の2社で世界のIoT標準必須特許の出願の30%を占めており、韓国が同分野で強みを見せている。
類型別の出願動向:狭帯域IoT分野の出願件数トップ
技術別でみると、低電力技術である「狭帯域モノのインターネット(NB-IoT)※」分野の出願が45,552件(63.9%)と最も多かった。中継器なしで機械同士が直接通信できる「サイドリンク(Sidelink※※)」分野の出願が15,189件(21.3%)と2番目に多くなっている。これは速い応答時間が重要な自動車のIoT技術への研究開発が活発に行われてきたためだと思われる。人を介さない機器間の通信技術である「機械通信(MTC※※※)」分野の出願は10,524件(14.8%)である。
※狭帯域IoT(Narrow Band IoT):IoT技術で欠かせない低電力・遠距離の無線通信(LPWA:Low Power Wide Area)を可能にする代表的なIoT技術
※※サイドリンク(Sidelink):機器間の直接通信を可能にする技術で、基地局を介さずに機器同士でデータを直接送受信する通信技術
※※※機械通信(Machine Type Communication):人を介さずに機械間で通信するIoT技術で、少量のデータで通信することが特徴
特許庁のモノのインターネット審査課長は「どこでもIoTサービスを利用するためには移動通信技術が欠かせないため、移動通信技術基盤の標準必須特許がIoT産業において競争力を高めるカギとなると思う」とし、「特許庁は世界のIoT標準必須特許の動向を把握して各企業が同分野で優位に立つよう、参考になる統計資料などを適時に提供していく」と述べた。
ジェトロ・ソウル事務所知的財産チーム
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