知的財産ニュース 蓄電池の火災対策技術の特許出願件数で韓国が世界トップ

2024年11月4日
出所: 韓国特許庁

同分野における出願件数の伸び率が年平均15%…トップはLGエナジーソリューション


#最近、二次電池の爆発による火災事故が急増していることを受けて熱暴走※による蓄電池の爆発を予防・検知・消化する技術が注目されており、韓国企業も関連技術を確保するために取り組んでいる。
※過充電、過放電、高温環境に放置、物理的損傷により蓄電池の温度が上昇して火災につながる現象のことで、熱暴走が発生すると蓄電池の温度が約1,000度まで急上昇することがある

韓国特許庁は、この10年間(2012年~2021年)蓄電池の火災対策技術における世界の特許出願を分析した統計を発表した。その結果、蓄電池の火災対策技術に係る特許出願が10年間年平均15%ずつ成長しており、韓国が市場をリードしていることがわかった。

蓄電池の火災対策技術に係る特許出願、10年間年平均15%増

主要国特許庁(IP5:韓国、米国、中国、欧州、日本)に出願された蓄電池の火災対策技術の特許を分析したところ、2012年には715件にとどまっていたが、この10年間年平均15%ずつ増加し2021年には13,599件に達している。

国別の出願動向:韓国人による特許出願件数がトップ(37.7%)

全体の13,559件のうち韓国籍による出願が37.7%(5,122件)とトップであり、次に中国(22.8%、3,099件)、日本(21.0%、2,855件)、米国(11.2%、1,518件)の順となっている。とりわけ、韓国は出願件数2位の中国より1.7倍多いため、蓄電池の火災対策技術分野で韓国が優位に立つ傾向が続くとみられる。

類型別の出願動向:火災検知分野の出願件数がトップ、火災消化分野では年平均の伸び率がトップ

技術の類型別でみると、火災検知分野の出願件数が61.2%(9,866件)と最も多く、火災予防分野(32.8%、5,292件)、火災消化分野(6.0%、967件)の順となっている。出願件数の伸び率では火災消化分野が最も高い(年平均37.7%)ことがわかったが、これは最近、二次電池の爆発による火災事故が相次いだため、消火技術への需要が増えているとみられる。

出願件数の順位:1位LGエナジーソリューション、2位サムスンSDI,6位SKオン、9位ヒョンデ自動車

出願件数が多い順でみると、韓国のLGエナジーソリューション(2,735件、20.1%)が1位、2位サムスンSDI(1,416件、10.4%)、3位中国のCATL(701件、5.2%)、4位トヨタ(398件、2.9%)、5位SANYO(322件、2.4%)となっている。上位10位に6位SKオン(257件、1.9%)、9位ヒョンデ自動車(189件、1.4%)など韓国企業が多くランクインし、韓国企業が蓄電池の爆発による火災事故を予防するために関連技術を積極的に出願していることがわかった。

韓国特許庁、積極的な行政の一環として『蓄電池の火災対策技術に係る特許100件』を作成

一方、特許庁は国民の命や安全を守るための積極的な行政の一環としてここ20年間(2003年~2023年)韓国特許庁に登録された蓄電池の安全対策技術をまとめた「蓄電池の火災対策技術に係る特許100件」を作成した。

特許庁の関係機関、蓄電池産業の関連企業・機関などに配布する予定であり、ユーザーなど大衆向け資料を特許庁ウェブサイト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますから閲覧できる。

特許庁の特許審査企画局長は「蓄電池の火災対策技術の発展は蓄電池の爆発・火災事故による被害を大きく減らす上で大きく寄与すると思う」とし、「特許庁は蓄電池の爆発・火災事故から国民の命と安全を守るために、必要な特許情報を適宜提供していく」と述べた。

ジェトロ・ソウル事務所知的財産チーム

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