知的財産ニュース 韓国特許庁と農林畜産食品部、農食品技術分野のR&D戦略支援を強化

2024年10月15日
出所: 韓国特許庁

両機関の支援により忠南大学が韓国初の水素燃料電池採用の大型トラクターの研究開発へ

キム・ワンギ特許庁長はパク・ボムス農林畜産食品部(以下、農食品部)次官と共に10月15日火曜日、農食品分野の研究開発について意見を聞き、機関同士の協力を図ることで優秀・先導技術の研究開発事業における特許戦略支援の強化策について議論するために、忠南(チュウナム)大学を訪問した。

今回の大学訪問は、農食品部の「環境配慮型水素燃料電池基盤のトラクターの開発課題」に対する特許庁「特許路R&D(知財権連携研究開発戦略支援)事業※」の成果を振り返り、有効な研究開発に向けた政策支援策を考えるために行われた。
※特許情報を分析して最適のR&D方向性の提示、研究開発の課題解決、有望・空白技術の確保、特許紛争の予防など、産学研の各環境に合わせた研究開発戦略を支援する事業(2020年~)

忠南(チュウナム)大学(研究責任者兼バイオシステム工学科教授キム・ヨンジュ氏)は、2022年からヒョンデ自動車グループ、LSエムトロン、(株)DICなど18の大学・研究所・企業と共に農食品部の「環境配慮型エンジン採用の農機械に関する技術開発事業」のR&D課題※に参加して韓国初の水素燃料電池基盤の大型トラクターの開発研究を行っている。
※(課題名)環境配慮型水素燃料電池基盤110kw級大型トラクター開発(2022年~2026年、289億ウォン)

特許庁は忠南(チュウナム)大学に「特許路R&D」事業を支援して水素燃料電池基盤トラクターの開発に向けたハイブリッドパワーシステム※、パワートレインシステム※※などコア技術に関する世界の特許ビッグデータを分析し、関連技術を先取りするための国内外での特許出願戦略を支援するなど、今後、世界市場で技術競争力を確保するための研究開発戦略を支援している。
※水素燃料電池(主エンジン)+蓄電池(サブエンジン)からなるもので、水素燃料の使用およびハイブリッド車のように蓄電池に燃料を充電する機能が搭載されたシステム
※※水素燃料電池から発生した電気を利用してパワートレイン(駆動モーター+変速機)を経て車両を動かすシステム

スマート農業、フードテックなど成長分野の場合、主要国が多くの特許権を確保しているため、世界市場に進出する際の特許紛争の予防や新技術の発掘・先占のための戦略が求められる。

特許庁と農食品部は、このような状況を踏まえて農食品分野における研究開発事業の競争力強化に向けて研究開発事業の企画段階から成果の創出・拡散段階に至るまで全ての段階にわたり特許基盤の研究開発戦略への支援を強化することにした。

特許庁は、農食品技術分野の特許ビッグデータの分析により未来の有望技術を発掘し、農食品部・農村振興庁の共同企画団による研究開発課題を支援する。また、課題の設定段階から主要技術分野に関する特許動向の調査を行い、類似・重複する課題のチェック、先導・新技術の先取り戦略を支援して課題の成果や投資の効率性を高める計画だ。

また、農食品分野において研究開発の成果を高め、技術移転および事業化の推進など活用性を高めるための「特許路R&D」事業支援を段階的に拡大する考えだ。大型課題や新技術の開発課題など重点課題については優先して「特許路R&D」事業を支援するよう協力していく。

パク・ボムス次官は「農食品分野のコア特許確保に向けた農食品部と特許庁間の協力は、研究開発の事業化や技術競争力の強化を図る上で大きく役立つと思う」とし、「今回の懇談会を機に特許庁とさらなる協力を進めることを期待する」と述べた。

キム・ワンギ庁長は「農食品分野で新成長産業を育成するためには、垂直農場・グリンバイオなど潜在力の高い分野に対する研究開発が重要である」とし、「特許庁は世界の特許ビッグデータを活用して農食品分野の有望技術を発掘し、コア技術・特許の先占および事業化への支援など農食品部とさまざまな分野で協力することで先端産業の育成を引き続き支援していく」と述べた。

ジェトロ・ソウル事務所知的財産チーム

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