知的財産ニュース 韓国特許庁商標警察、グローバルコーヒーブランドS社のタンブラーの模倣品流通業者9名検挙
2024年10月15日
出所: 韓国特許庁
各部品を個別に輸入して国内で完成品を製造する新しい犯罪手法が発覚
韓国特許庁の商標特別司法警察※(以下、「商標警察」)は、有名コーヒーブランドS社のタンブラーの模倣品を製造・流通したA氏(53歳)など9名を商標法違反の疑いで書類送検した。
※商標権侵害(模倣品)事件を捜査して検察に送致する特許庁の特別司法警察
商標警察によると、A氏など9名は2021年から2023年まで(約3年間)有名コーヒーブランドS社のタンブラーの模倣品約13万点(真正品価格62億ウォン相当)を韓国国内で製造・流通した疑いがあるという。商標警察はA氏などが輸入を試みた偽タンブラーの部品が税関で摘発され、その部品が使われる模倣品を製造・流通する犯罪行為が行われていると判断し、捜査に入った。
商標警察は、京畿道(キョンギド)周辺でA氏(53歳)を始め、流通係B氏(46歳)、資金係C氏(65歳)、製造係D氏(62歳)などが犯罪に加担していたことを把握し、犯罪組織を検挙した。組織の責任者A氏は過去にタンブラーの模倣品を大量に買い入れて販売する役割をしていたが、今回は独自で犯罪計画を立て、模倣品の製造・流通を主導してきたことが捜査結果でわかった。
模倣品の部品を複数国から持ち込み、韓国内で完成品を製造・流通する犯罪手法
A氏などは犯罪が発覚されないように、タンブラーの各部品を複数国から輸入して韓国内で組立、再加工する手法でタンブラーの模倣品を製造していたことがわかった。
A氏は無印のタンブラー(商標のない製品)の本体を海外から持ち込み、韓国内で「S社」のロゴマークを入れて模倣品の本体を作った。タンブラーの蓋、ゴムパッキン、シールなどは海外で生産してから韓国に持ち込み、韓国ではパッケージ、取扱説明書などを印刷した。個別で作ったタンブラーの本体、各部品、印刷物を合わせて「S社」タンブラーの模倣品を完成させたという。
A氏などはこのような手法で製造した「S社」タンブラーの模倣品を正規輸入品かのように騙し、公的機関、企業、民間団体などに記念品やノベルティとして真正品価格の5割以下の値段で約13万点を販売していたことが発覚された。
また、犯罪組織は特許庁、警察、税関など捜査機関による取締の結果や情報などをプラットフォーム上で共有していたことがわかった。犯人同士のネットワークを使って取締から逃れるか犯行の責任を最小化する方法なども共有していた。A氏は過去にあった犯罪を参考にして虚偽の証明賞を提出したが、商標警察のデジタル・フォレンジックにより製造行為を含む各種犯罪手法が発覚された。
商標警察と捜査機関間の協力強化、新しい犯罪手法への取締も強化
商標警察は、犯罪情報を共有して新しい手法を取るケースが増えることを見込んで、警察、税関など各捜査機関別による定期懇談会および合同教育などを行い、新しい犯罪手法に対する取締能力を強化していく考えだ。
特許庁の産業財産保護協力局長は「犯人同士のネットワークを使って新しい犯罪手法を考えるなど、知財侵害のケースが多様化している」とし、「今後も新しい手法の商標権侵害犯罪に対応できるよう、関係機関との緊密な意思疎通を図る一方、最新の捜査手法を活用して模倣品対策を強化していく」と述べた。
模倣品による被害を受けた場合は、特許庁の知的財産侵害ワンストップ通報相談センター
ジェトロ・ソウル事務所知的財産チーム
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