知的財産ニュース 韓国の商標コンセント制度、今年5月施行以降4カ月間の利用件数が447件

2024年9月19日
出所: 韓国特許庁

後願商標についても先願商標と同一の効力を認める…商標権紛争を予防する効果


#商品の発売を準備しているア氏が商標を出願したが、類似の商標が既に登録されていたため、ア氏の商標登録は拒絶された。商品の発売を控えていたため、今後の経営にも影響が出ると心配していたが、拒絶査定不服審判で商標共存同意(コンセント)制度を有効に活用して商標を登録することができた。

先行登録商標権者の同意があれば類似の商標であっても商標登録を認める商標共存同意(コンセント)制度の運用開始(2024年5月1日)後、4か月の間(2024年5月~8月)利用件数が計447件に達していることがわかった。

韓国特許庁は、改正商標法※により今年5月から施行された「商標共存同意制度」が有効に活用されていると発表した。
※商標法の一部改正(法律第19809号、2023年10月31日改正、2024年5月1日施行)

商標共存同意制度

商標共存同意制度とは、先行登録商標権者が標章※および指定商品※※が同一・類似の後願商標の登録に同意する場合※※※、当該商標の登録を認める制度である。同一・類似の先願登録商標により商標の登録ができない中小企業・小売事業者などの悩みを解消するために設けられた。
※標章:記号、文字、図形など商品の出所を表すために使用される表示
※※指定商品:出願人が商標の使用を規模する商品の名称
※※※ただし、指標と指定商品が全て同一の場合は適用しない

商標共存同意制度、今年5月運用開始以降4カ月間の利用件数447件…制度定着化に成功

同制度は運用開始から今年8月末までの4か月間、計447件利用され、多くの出願人から高い満足度を得ている。制度を利用した権利者を先願・後願で分けてみると、企業・企業が321件(72%)、個人・企業70件(16%)、企業・個人36件(8%)、個人・個人20件(4%)であり、企業と企業の間で活発に活用されていることがわかった。

各案件において商標共存同意書が提出された時点の審査状況をみると、審査手続き(意見書の提出など)217件(49%)、出願公告185件(41%)、登録査定34件(8%)、審判(拒絶査定不服審判)6件(1%)であることがわかった。同制度は商標の出願から審査・登録・審判までさまざまな段階で活用され、当事者間の紛争を予防する機能を果たしているといえる。

後願商標についても先願商標と同一の効力があると認める…商標権紛争を防止する効果

商標の併存登録を希望する出願人は、商標登録出願または審査・審判の段階で先願登録商標権者が同一・類似の後願商標の併存登録に同意した内容が記載された商標共存同意書を出願書、意見書などと共に提出する。同意により登録された商標は、先願登録商標と同一の地位にある商標であり、通常の登録商標と同一の効力が認められる。

これまでは同一・類似の商標が既に登録されているか、先願の商標が存在している場合、後願の商標は登録が拒絶され、商標の譲渡・移転などを行って当該商標を使用しなければならなかった。しかし、同制度の施行により、このような出願人の不便が解消され、商標権をめぐる紛争を予防する効果が得られる。

特許庁の商標デザイン審査局長は「これからも出願人および先願登録商標権者からの意見を積極的にまとめた上で不便を感じる規制をなくし、同制度の改善を図っていく考えだ」とし、「今後も特許庁は、効率的に制度を整備・改善して出願人などの利便性を向上していく」と述べた。

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