知的財産ニュース 韓国特許庁、大田(テジョン)太平(テピョン)伝統市場の小売事業者と知財懇談会を実施

2024年9月12日
出所: 韓国特許庁

2022年に「小規模事業者向けIP力量強化事業」を始め、これまで伝統市場・小規模事業者を対象に計1万件以上の知財権支援に成功

<小規模事業者向け知的財産支援の事例>


#大田(テジョン)市の太平(テピョン)伝統市場は、「伝統市場・路地商圏の共同商標開発支援」事業を通じて「태평 대전(テピョンテジョン)」という新しい商標、熊・フタユビナマケモノ・亀を活用して「おっとりしている」という地域イメージを面白く表現したキャラクター商標、包装デザインを開発し、当該の商標および意匠を出願した(2023年8月~11月)。
#世宗(セジョン)市にあるパン屋の商標「世宗市ハングルパン」は、「知的財産(IP)創出総合パッケージ支援」事業を通じて、一般名称との理由で商標登録ができない従前の商標(世宗市ハングルパン)からハングル創製の理念である「天地人(天:ㅇ、地:ㅡ、人:ㄴ)」を表した新しい商標(美しいハングル、パンになる)とパッケージデザインを制作し、当該の商標および意匠を出願した(2023年9月~11月)。
#仁川(インチョン)市所在の飲食店の商標「松島(ソンド)オモン」は、既に他人が登録している類似の商標があったため商標登録ができなかったが、「知的財産(IP)創出総合パッケージ支援」事業を通じて、ロゴのデザインを組み合わせた新しい商標を作るとともに、商品(キムチチゲ)の特性を反映したミールキットのパッケージデザインを開発し、当該の商標および意匠を出願した(2023年9月~12月)。

「特許庁による支援事業を通じて開発した共同商標とキャラクターを実店舗やオンライン上のPR・マーケティングに積極的に活用しており、関係事業者からの満足度や地域住民からの好評が非常に高い」と、イ・ヨンス太平伝統市場商人会長は特許庁に感謝を伝えた。

韓国特許庁は「小規模事業者向け知的財産(IP)力量強化事業」が小規模事業者・伝統市場による商標権の取得などで高い成果を上げていると発表した。

同事業は2022年から始まり、2022年26億3,200万ウォン(3,759件支援)、2023年34億4,200万ウォン(4,290件支援)、2024年42億9,200万ウォン(8月時点2,542件支援)の予算を組んでいる。

伝統市場・小規模事業者向け知的財産(IP)支援の優秀な事例や意見を共有

キム・ワンギ特許庁長は9月12日木曜日午前10時30分、太平(テピョン)伝統市場(大田市中区所在)を訪れ、同事業の成果や現場の意見を集めるための懇談会を実施した。小規模事業者の悩みや知的財産政策に対する建議事項など現場の声を聞いた。

懇談会には、キム・ワンギ特許庁長、イ・ヨンス太平伝統市場商人会長、商人会の関係者など約10名が参加した。

小規模事業者向け知的財産(IP)力量強化事業の実施以降3年間1万件以上を支援、有効な知財権確保につながる

特許庁は「浦項(ポハン)のどんぶり粥※」などの問題を受けて小規模事業者が受ける知的財産権の被害を防ぎ、経営の安定および持続的な成長を図るために2022年から同事業を始め、小規模事業者を対象に知的財産に対する認識向上および権利の確保を支援している。
※韓国テレビ局SBSの「ペクジョンウォンの路地裏食堂」という番組で紹介され(2020年7月)注目を集めた人気店「浦項のどんぶり粥」と類似の商標をフランチャイズ企業が先願し、商標権をめぐる争いが起こった

同事業は2022年から始まり、2022年26億3,200万ウォン(3,759件支援)、2023年34億4,200万ウォン(4,290件支援)、2024年42億9,200万ウォン(8月時点2,542件支援)の予算を組んでおり、2025年にも同水準の支援を行う計画だ。2022年から2024年8月まで計1万件を支援し、小規模事業者の知財権確保に重要な役割を果たしている。

2023年には、1)小規模事業者が保有している商号、レシピなどの商標、特許など知財権の出願を支援する「知的財産(IP)出願支援」事業により3,887件、2)マーケット・製品・特性を反映した商標・意匠の融合開発および商標、意匠の出願を支援する「知的財産(IP)創出総合パッケージ支援」事業により89社を対象に180件、3)伝統市場・路地商圏の特徴を生かした共同商標やキャラクターなどを作り、商標や意匠の出願を支援する「伝統市場向け共同商標開発支援」事業により伝統市場22か所で223件、計4,290件の権利化を進めた。

特許庁長は「伝統市場は古いという固定観念から離れ、各地域が持つ伝統や歴史、文化を生かした伝統市場ならではのコンテンツを作る必要がある」とし、「特許庁は各伝統市場の特色を生かした共同商標およびキャラクターの制作とともに、小規模事業者が知的財産権を確保することで持続的な成長を図ることができるよう支援していく」と述べた。

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