知的財産ニュース 第3回WIPOグローバルアワードでスタートアップ「エイトテック」が韓国企業初受賞

2024年7月15日
出所: 韓国特許庁

知財基盤の事業成果や国連のSDGsに貢献したことが評価された

韓国特許庁は7月12日、スイス・ジュネーブにあるWIPO※本部で開かれた第3回WIPOグローバルアワード(Global Awards)で韓国スタートアップ「エイトテック」が韓国企業初めて受賞したと発表した。
※国連傘下15の専門機構の一つで、知的財産分野の全般を総括する国際機関

グローバルアワードは、WIPOが知的財産を活用した技術により経済・社会・文化の発展に寄与した中小企業・スタートアップを選定・授賞することで、知財基盤の事業化を促し、企業のモチベーションを高める目的で2022年から行われている。今年3日目を迎えた2024年グローバルアワードには107か国667社が参加し、エイトテックを含め9か国※の9社が受賞した。
※韓国、中国、シンガポール、タイ、スイス、ケニア、クウェート、アルゼンチン、トルコ

受賞した企業には資金調達や事業パートナーシップなど「知的財産(IP)ビジネス」に関する6~12週間のメンタリング、WIPOプラットフォームによるPR、知財戦略に関するアドバイスをもらえるWIPOネットワークへの参加、グローバルアワード授賞式への招待など特典が提供される。

2020年立ち上げたエイトテック(代表者パク・テヒョン氏)は、廃棄物を選別する人工知能(AI)ロボットを開発し、ロボットを民間・公共のリサイクルセンターに提供して2023年約23億ウォンの売上高を達成するなど成長ぶりがうかがえるスタートアップである。同社は、特許庁によるIP-R&D※の支援を2回(2021年、2023年)にかけて受けて強い特許ポートフォリオ(国内での特許18件(登録10件)、PCT7件出願)を蓄積し、中小ベンチャー企業TIPSを通じて研究開発や事業にかかる資金を調達するなど政府からの支援を受けてスタートアップが直面しやすい事業初期段階のハードルを効果的に乗り越えたと言われている。
※R&Dの企画から遂行、完了および技術の事業化に至るまで全てのプロセスにおいて強いIP創出を念頭にIP戦略を立て、それを基に企業の研究開発を行うこと

今年、企業の評価に参加した国際審査委員会の関係者によると、特許に基づいてゴミをリサイクルするビジネスモデルや製品開発により国連の持続可能な開発目標(SDGs)に貢献したことが大きく評価されたという。

2022年グローバルアワードが発足された以降、2022年と2023年の2年連続で韓国企業2社が最終候補に選ばれたが、受賞にはつながらなかった。このことから特許庁はさらに多くの韓国企業が大会に参加できるよう積極的にPR活動をし、WIPO側と選定や判断基準などについて緊密に話し合ってきた。

特許庁長は「エイトテックの受賞は、同社が知財権を戦略的に確保することでコア技術を効果的に保護し、商業化が難しいとされるAIとハードウェアを融合した分野で成果を上げ、何より国連の持続可能な開発目標の達成に貢献したことが認められたことを意味する」とし、「今後も特許庁は、多くの韓国企業が受賞し、それを機に世界市場に進出できるよう支えていく」と述べた。

エイトテック代表は「世界の知財拠点となるところで受賞できたことを大変光栄に思う。エイトテックの社員、これまでの事業活動を支えてくれた韓国政府の関係者に感謝する」とし、「今回の受賞は、特許など知財を通じて、世界的な企業として成長して地球課題である『持続可能な発展』に寄与するとの意味だと思う。今後も事業展開に取り組み、AI基盤の廃棄物選別分野で世界市場をリードする企業になりたい」と述べた。

ジェトロ・ソウル事務所知的財産チーム

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