知的財産ニュース 韓国特許庁、欧州知的財産(IP)センターを広域型へ拡大

2024年7月15日
出所: 韓国特許庁

欧州知的財産(IP)センターの開所式および現地進出の韓国企業との懇談会を開催

欧州地域に進出する韓国企業向け知的財産保護サービスが強化される。

韓国特許庁は7月12日、ドイツのフランクフルトで欧州知的財産(IP)センターの開所式と共に現地に進出している韓国企業の関係者と懇談会を開いた。

今回のイベントは、従前の海外知的財産センター(IP-DESK)による支援の機能や範囲を拡大して今年から運営される広域型欧州知的財産(IP)センターの発足を記念する場である。

特許庁は、今年からより多くの国に進出する韓国企業への迅速な支援のために、▲一か所のセンターで周辺国を含める包括支援を行う広域型への転換、▲弁護士・弁理士など専門家をセンターに配置して中小・中堅企業への支援を強化する方向で、海外知的財産センターの機能を改善した。これにより、40か国で事業を展開している韓国企業は、センターの専門家や現地の法律事務所を通じていつでも知財権の相談や法律諮問を受けることができる。
※海外知的財産センター(IP-DESK)所在地(10か所):米国(LA、ワシントン)、中国(北京、広州)、日本(東京)、欧州(フランクフルト)、ベトナム(ホーチミン)、タイ(バンコク)、インド(ニューデリー)、メキシコ(メキシコシティ)

欧州地域の経済共同体である欧州連合(EU)は、米国、中国に次ぎ、韓国にとって3番目に大きい貿易相手で、韓国企業約2,000社が進出している巨大な市場である。昨年6月、欧州単一効特許制度が試行され、韓国企業が関係する特許紛争件数はこの5年間45件と、米国、中国に次ぎ多いため、現地に輸出する韓国企業の知財権保護へのニーズが高まっている。これを受けて、フランクフルトに所在するドイツIP-DESKを欧州10か国※に進出する韓国企業を支援する広域型欧州知的財産(IP)センターに拡大・改編することにした。広域型欧州知的財産(IP)センターの発足を機に、欧州に進出する多くの韓国企業が知財権をめぐる悩みを解消できる効果が期待できる。
※ドイツ、英国、フランス、スペイン、スイス、イタリア、オランダ、トルコ、スウェーデン、ロシア

特許庁は同日、開所式の開催後、現地にある韓国企業の関係者と懇談会を開き、知的財産分野の建議事項や相談を聞き、それに対応できる政府の支援策について意見を交換した。 懇談会に参加した企業は、▲海外企業と契約を結ぶ際に知財権関連条項の検討の必要性、▲政府による支援事業に対する情報不足、▲海外での知財権取得などについて対応を求めた。

現地で活動する知財権法律専門家は、欧州市場に進出する可能性のある韓国企業の商標を他人が先に商標登録する問題、韓国企業が新製品の意匠を先に公開してから遅れて出願する問題などが頻繁に生じていると指摘した。海外市場に進出する前の段階から商標・意匠・特許など知財権を確保することが大事だと強調した。

特許庁長は「世界的な保護貿易主義や技術覇権争いの激化により、海外進出する際の知財権の保護や紛争への対応はさらに重要になっている」とし、「機能を拡大した海外知的財産センターを通じて、さらに多くの国で韓国企業への知財支援を強化することができると思う」と述べた。

ジェトロ・ソウル事務所知的財産チーム

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