知的財産ニュース 世界で流通される韓国企業の模倣品被害規模97億ドル…全体輸出額の1.5%

2024年7月4日
出所: 韓国特許庁

経済協力開発機構(OECD)が「違法貿易と韓国経済」報告書を公開

経済協力開発機構(OECD)は、世界で流通される韓国企業の知的財産権を侵害する模倣品規模が97億ドル(11.1兆ウォン、2021年)に達すると発表した。これは同年、韓国における全体の輸出額の1.5%に相当する。

世界で流通される韓国企業製品の模倣品2点のうち1点は電子製品であることがわかった。また、模倣品の多くは香港や中国が製造元であることがわかった。

経済協力開発機構(OECD)は7月3日水曜日、上記の内容を盛り込んた「違法貿易と韓国経済(Illicit trade and the Korean economy)」という報告書を公開した。この報告書は、模倣品流通による韓国企業の経済的被害を分析するために、韓国特許庁が経済協力開発機構(OECD)に依頼した研究結果である。経済協力開発機構(OECD)が模倣品流通により韓国企業が受ける経済的影響を分析した初事例である。

韓国企業製品の模倣品2点のうち1点は電子製品、多くの製造元は香港(69%)や中国(17%)

報告書は、韓国は世界的に革新的な国※ではあるものの、世界のバリューチェーンに深く関わっているため、さまざまな部分で模倣品対策に構造的に脆弱な面があると指摘した。経済協力開発機構(OECD)は、韓国企業製品の模倣品が流通されれば、消費者が真正品の代わりに模倣品を購入してしまい、韓国企業の輸出など国内外の売り上げ、製造業の雇用、政府の税収などにダメージを与えかねないと分析した。
※OECD加盟国のうち、GDP比R&D投資2位(2019年)、グローバル・イノベーション・インデックス(GII)132か国のうち6位(2022年)、GDP1,000億ドル当たり特許出願件数世界1位(2022年)、人口100万人当たり特許出願件数世界1位(2021年)など

経済協力開発機構(OECD)が分析した韓国企業の知財権を侵害する模倣品規模は2021年に約97億ドル(11.1兆ウォン)、韓国の全体輸出額の1.5%を占めている。2020年と2021年に最も多く被害を受けた品目は、電子製品(51%)、繊維・衣類(20%)、化粧品(15%)、雑貨(6%)、玩具(5%)である。また、模倣品の多くの製造元は香港(69%)と中国(17%)である。

模倣品流通により韓国企業が受ける被害は、売上高61億ドル、雇用1万、歳入15.7億ドルの損失

経済協力開発機構(OECD)は、模倣品流通の拡大により韓国企業が受ける、国内外の売上高減少、製造業の雇用減少、政府の税収減少などの影響を推算した。

韓国企業の知財権を侵害する模倣品流通による経済的影響(OECD、2021年時点)
国内外の売上高 製造業の雇用 政府の税収
61億ドル(7兆ウォン)
損失
13,855件
減少
15.7億ドル(1.8兆ウォン)
損失

韓国企業が受ける売上高の損失は61億ドルであり、これは製造業の全体売上高の0.6%を占める。業種別でみると、家電・電子・通信装置分野が36億ドルと最も多く、次に自動車が18億ドルである。製造業の雇用喪失は2021年13,855件と、製造業の全体雇用の0.7%に相当する。政府の税収に関しても2021年に総額15.7億ドルの損失が生じたと推算している。

特許庁、海外で生じる知財権侵害による被害への対応策を強化していく

政府は昨年、韓国企業が被る知財権侵害による被害への対応強化に向けて非常経済長官会合(2023年3月)においてオンライン上の模倣品遮断対策の対象国を世界全体へ拡大、海外で模倣品被害が頻発する業種への支援強化、官民共同対応体系の構築など支援策を盛り込んだ「K-ブランドの模倣品への対応強化策」を発表した。

特許庁長は「模倣品流通は、個別企業のブランドイメージにダメージを与えるだけではなく、企業の売上高・雇用、税収など国家経済に深刻な被害をもたらす」とし、「今回の経済協力開発機構(OECD)による調査結果を基に、韓国企業が海外で受ける知財権被害を最小限に抑えるよう支援を強化していく」と述べた。

ジェトロ・ソウル事務所知的財産チーム

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