知的財産ニュース 韓国特許庁、IP回収支援機構・IP仲介協約機関と担保特許権の収益化方策を考える懇談会を開催
2024年6月25日
出所: 韓国特許庁
特許の財産的価値を有効に活用する!
#銀行から自分が保有する特許権Aを担保に(以下、担保IP)融資を受けた扇風機製造会社B社は、コロナ禍以降、経済停滞と高金利に耐えられず、経営破綻に陥った。莫大な損失を受けた銀行は、担保にしている特許権AをIP回収支援機構に売り、損失を補填することができた。
#IP回収支援機構は、買収した特許権Aを収益化するために当該の特許を必要とする企業を募集した。そこでIP仲介協約機関がマーケティング活動により需要者を見つけ、IP回収支援機構が特許権Aについてライセンス契約または売却を進めるようサポートした。
韓国特許庁は6月25日火曜日、韓国科学技術会館(ソウル市江南区所在)にてIP担保貸出回収支援機構(以下、「IP回収支援機構」)※とIP仲介協約機関※※が参加する懇談会を開くと発表した。
※IP担保貸出回収支援機構:特許庁、韓国発明振興会、INTELLECTUAL DISCOVERY社が所属し、支払い不能になったIP担保融資の担保IPを銀行から買収する役割
※※IP仲介協約機関:特許権を取引する特許法人、民間技術取引機関など計47社で構成され、担保IPの取引仲介を行う内容で特許庁と協約を締結
懇談会は、IP回収支援機構とIP仲介協約機関の間で担保IPの取引を促進するための仕組みを作り、IP取引を行う関係者から意見を聞いて事業を活性化する趣旨である。
特許庁は今回の懇談会で、IP仲介協約機関とは担保IPの売却に成功した事例を共有し、各機関から建議事項などを集めて担保IPの取引活性化について話し合う考えだ。また、担保IPを買収する企業に対する支援プログラムなど担保IP買収への需要を促す方策についても意見を聞く考えだ。
IP回収支援機構は、銀行の回収負担を軽減するために支払い不能に陥ったIP担保融資に対し、当該の担保IPを買収し、ライセンス契約や売却などを行って収益化する事業である。IP回収支援機構は2020年発足以降、計186件の担保IPを買収し、このうち46件に対し収益化を図ったことで銀行の負担を軽減させ、IP担保融資の拡大※に寄与している。
※IP担保融資の残高規模:(2019年)0.7兆ウォン→(2023年)2.3兆ウォン
特許庁の産業財産政策局長は「IP金融の柱であるIP担保融資において担保IPの収益化を図るIP仲介協約機関の役割は非常に大事だ」とし、「IP担保融資は、中小企業にとって有効な資金調達の手段になるため、充実したIP回収支援事業を運営し、IP仲介協約機関とコミュニケーションを重ねて担保IPの収益化に積極的に取り組んでいく」と述べた。
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