知的財産ニュース 韓国特許庁、5月19日「発明の日」を迎えて「先端技術特許の優先審査A to Z」を公開
2024年5月20日
出所: 韓国特許庁
半導体分野特許の優先審査期間が平均1.9月、韓国企業の競争力を支える
韓国特許庁の半導体審査推進団が発足された以降、半導体分野の特許優先審査※の処理期間※※が平均1.9月であることがわかった。このような審査の迅速化は今後、二次電池、バイオなどほかの技術分野にまでつながり、突出した先端技術の確保を支えていくと期待される。
※迅速に処理する必要性のある出願に対し、ほかの出願より優先して審査を行う制度
※※審査請求日~審査処理日までの所要期間
特許庁は5月19日、発明の日を迎えて半導体審査推進団(以下、推進団)の1年間の成果、先端技術支援政策などを盛り込んだ「先端技術特許の優先審査A to Z」を公開すると発表した。
推進団の発足以降、半導体分野の審査は、優先審査を申請した場合、平均1.9月(2024年5月時点)かかっている。推進団が発足される前後に実施された半導体分野の優先審査(2022年11月1日)と半導体分野の特許審査官の採用(2023年3月、2024年1月)により、審査の効率や品質を高める土台を作ることができた。
突出した半導体技術力支援パッケージ:推進団の発足、民間部門の退職人材の採用、優先審査の採用
特許庁は、半導体分野の突出した技術力の確保に向けて、半導体専担特許審査組織を新設し、民間企業などを退職した半導体分野人材を審査官に採用、半導体分野の優先審査制度を採用するなど、関連政策を打ち出してきた。
①(半導体審査推進団の発足、2023年4月11日)同推進団は、韓国企業が持つ先端半導体の技術力に対する先制的な保護や育成を図るために立ち上げた組織で、知財分野の主要国では初めての半導体専担審査組織である。発足当時、130名の審査官が在籍し、半導体分野の民間企業を退職した専門家を67名採用するなど、現在は特許庁の中核組織として機能している。
②(半導体専門審査官67名を採用、2023年3月、2024年1月)民間企業を退職した専門人材を半導体専門審査官に採用(1次30名、2次37名)して審査の効率性や専門性を高めている。また、民間企業を退職した優秀な人材が海外企業に転職することで半導体のコア技術が海外に流出されることを予め防ぐ目的もある。このような新しい職員人事制度は韓国政策学会から大賞を受賞するなど好評※を受けている。
※①韓国政策学会大賞(2023年6月)、②第12回大韓民国知識大賞国務総理賞(2023年9月)、③人事革新優秀事例コンテスト大統領賞(2023年12月)
③(半導体分野の優先審査、2022年11月1日)通常の特許出願は、最初の審査結果の通知まで平均16月(2023年12月時点)がかかるが、半導体分野の特許出願が優先審査の対象に指定されたことにより、現在、平均1.9月で通知を受け取ることができる。また、ディスプレイ分野も優先審査の対象に指定されている(2023年11月1日)。このような動きは、韓国企業が迅速に特許権を確保することで投資の誘致や市場先占につながり、企業の生存や成長に大きな影響を与えると期待される。
半導体分野の成果→二次電池分野の審査パッケージへ拡大
特許庁は、このような成果を基に、半導体、ディスプレイ分野に次ぎ、二次電池分野にまで特許審査パッケージの支援を拡大している。
二次電池分野に優先審査を採用(2024年2月19日)した。民間企業などを退職した専門人材を今月末中に、二次電池専門特許審査官に採用(38名)する予定である。また、二次電池専担特許審査組織を新設(2024年6月)して二次電池特許審査パッケージの支援体制を稼働する考えだ。
今後も特許庁は、韓国企業のコア技術に対する先制的な保護体制の確立と共に先端技術分野への支援に取り組む計画だ。
特許庁長職務代理は「特許審査パッケージ支援政策は、半導体分野企業から好評を受けて二次電池、バイオ業界などほかの技術分野でも希望する声が多い」とし、「韓国企業の優れた発明を迅速かつ正確に審査して特許権を確保できるよう支援し、先端技術先取りで韓国企業が優位に立つよう引き続き努力していく」と述べた。
ジェトロ・ソウル事務所知的財産チーム
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