知的財産ニュース 韓国特許庁、6月のIP5長官会合に向けた「IP5副長官会合」をオンラインで開き

2024年4月9日
出所: 韓国特許庁

新技術への対応、ユーザーフレンドリーなシステム構築、持続可能な開発目標の実現について話し合う

韓国特許庁は4月9日火曜日午後8時、今年6月にソウルで開かれるIP5(日米欧中韓の知的財産庁)の長官会合に向けて議題を調整するための「IP5副長官会合」をオンライン形式で開催すると発表した。

今回の会合は、韓国が議長国となり、6月18日火曜日から20日木曜日までソウルで開催する「2024年IP5長官会合」の議題を事前に調整するためである。先進5か国特許庁(IP5)の副長官および世界知的所有権機関(WIPO)の高官など約60名が参加する。

副長官会合では、①国際的な特許権の譲渡などユーザーフレンドリーな知的財産体系の構築方策、②人工知能など新技術の到来に向けた知的財産環境の変化への対応策、③知的財産分野における持続可能な開発目標※(Sustainable Development Goals: SDGs)を実現できる方策について議論する。 ※人間、地球、繁栄、平和、パートナーシップ(Partnership)という5つ分類で持続可能な開発という理念を実現するための17の目標と169のターゲット(2015年第70回国連総会で採択)

IP5と呼ばれる先進5か国特許庁は、世界特許出願の約85%を占める知財分野のG5である。韓国特許庁は、世界4位の規模を誇る先進的な知的財産機関として、欧州、日本、中国、米国の特許庁と共に2007年に先進5か国特許庁(IP5)を設立し、「ユーザーフレンドリーな世界の知財エコシステムの構築」に向けて取り組んでいる。

①国際的な特許権の譲渡などユーザーフレンドリーな知的財産体系の構築方策について

IP5の副長官は、ユーザーフレンドリーな世界の知的財産体系を構築するために、ここ1年間IP5間で行われた実務者会合で議論されたテーマについて検討する。とりわけ、海外特許権者のコストや時間を削減できるよう、特許権譲渡申請書を一回のみ提出すれば、IP5のほかの4庁で当該特許権の譲渡効力を一括して認める「国際的な特許権の譲渡」の課題(韓国と米国特許庁による提案)について話し合う考えだ。

②人工知能など新技術の到来に向けた知的財産環境の変化への対応策について

2019年仁川広域市松島(インチョン・ソンド)で開かれたIP5長官会合で、韓国の提案により議論された「IP5新技術・人工知能に関するロードマップ(NET/AI Roadmap)」の履行状況についても話し合う。これに関連しては昨年、米国のハワイで開かれたIP5長官会合で韓国の提案により承認された「AI関連発明について五庁における法制・判例の動向(Inventorship of AI generated inventions)」の研究結果が共有される予定であり、今回発表される研究結果には、米大統領令(2023年10月)により米国特許庁が最近発表した「AIを活用した発明に関する発明者権利のガイドライン」などが含まれる。

これを基に韓国特許庁は、IP5の間で先端技術に関わる知的財産のイシューに関する議論を引き続きリードしていく考えだ。

③持続可能な開発目標の実現に向けた知的財産分野における協力策について

持続可能な開発目標の実現に向けた知財分野における具体的な協力策についても話し合う。IP5は、昨年の長官会合で、これまで審査協力および制度調和に焦点が当てられていたIP5の共同宣言文(Vision Statement)に「持続可能な開発目標の実現」を明記することで合意し、これにより、IP5が気候変動など人類共通課題の解決に向けて知財分野で様々な協力を図る根拠が示された。

これを基に韓国特許庁は、2024年IP5長官会合のテーマを「持続可能な革新に向けた包容的な知的財産体系の構築」に決めた。当日、副長官会合で話し合った内容を基に、今年6月の長官会合で経済成長、イノベーションとインフラなど、持続可能な開発目標の履行に向けたIP5の具体的な知的財産分野の協力課題を抽出し、革新的な中小企業の成長に向けた知的財産の役割について議論する計画だ。

韓国特許庁のキム・シヒョン特許庁長職務代理は「クリエイティブとイノベーションの促進による持続可能な経済発展を実現するためには、IP5間の緊密な協力が欠かせない」とし、「ソウルで開かれる第17回IP5長官会合の成功に向け準備に万全を期し、韓国企業が海外で活躍しやすい知財環境づくりに取り組む一方、知財分野の中核国家としてのプレゼンスをさらに高めていく」と述べた。

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