知的財産ニュース 韓国特許庁がソウル市や警察などと捜査協議体を立ち上げ、東大門偽物市場の取り締まりへ

2024年4月3日
出所: 韓国特許庁

海外観光客・市民向け模倣品販売の違法性を伝える啓発活動も行う

韓国特許庁、ソウル市、ソウル市中区庁、ソウル中部警察署からなる「セビッ市場の模倣品捜査協議体」(以下、「捜査協議体」)は今年3月16日、ソウル市東大門にある「セビッ市場」(いわゆる「黄色い天幕」)で同時合同取締を実施、高級ブランドの模倣品854点を押収し、販売者A氏(女性、62歳)など卸売・小売業者6人を商標法違反の疑いで書類送検したと発表した。

セビッ市場の模倣品捜査協議体を立ち上げ

セビッ市場は、東大門歴史文化公園駅の前で午後8時から翌日3時まで黄色い天幕が張られる市場だが、最近は国内外の観光客の間で模倣品売り場として広く知られている。

これまで特許庁商標警察、ソウル市民生司法警察、ソウル市中区庁特別司法警察、ソウル中部警察署など各捜査機関が個別にセビッ市場で模倣品の取り締まりを行ってきたが、一時的な活動であるため、取り締まりの効果が得られないとの指摘があった。

本来、セビッ市場は、ソウル市中区庁から許可を得た屋台営業者のみ、許可条件※に従って黄色い天幕の範囲内で営業する仕組みだが、条件に従わず、模倣品販売による商標権侵害で罰金刑以上の刑が確定されれば、営業許可が取り消される。
※許可証シールの貼り忘れの繰り返し、転貸、商標法違反による罰金刑などの場合は営業許可を取り消す

模倣品売り場の拡散による国家イメージの低下を防ぎ、セビッ市場での取り締まり強化の必要性についてソウル中央地方検察庁(刑事6部、部長検事ジョン・ジウン)とコンセンサスを図り、今年2月26日、4つの捜査機関とソウル市中区庁(露店担当チーム)から協力を得て会合を開いた。会合では、セビッ市場の模倣品捜査協議体の立ち上げ、同時合同取締の実施、捜査結果を営業許可取消に活用する方策、模倣品の根絶に向けた取り締まり計画など、具体的な模倣品対策について話し合った。

ルイヴィトン、シャネルなど28のブランドの模倣品計854点を押収

今回の同時合同取締では、セビッ市場が夜に開かれる屋台という特徴を踏まえて捜査協議体の捜査官28人が夜10時以降、捜査対象の黄色い天幕を同時に突撃して捜査活動を行った。

12か所の黄色い天幕を取り締まり、6名を逮捕、ルイヴィトン、シャネル、グッチなど28の高級ブランドの衣類、靴、帽子など8品目の計854店の模倣品を押収した。

逮捕されたA氏など2人は商標法保護などの条件の下、セビッ市場に面した道路の占用許可を得た屋台営業者であり、B氏(男性、45歳)など4人は営業許可を得たほかの屋台営業者が無断転貸した黄色い天幕で模倣品を販売していた。

一方、韓国知識財産保護院は、取り締まり現場でスタンド看板やプラカードなどを使って模倣品販売の違法性を伝える啓発活動を行い、観光客や市民の関心を引き寄せた。

捜査協議体による今後の取り締まり計画

今後、各捜査機関は、セビッ市場で個別に取り締まり活動を続けながらホットラインを通じて取り締まり状況を捜査協議体の内部で共有し、商標権違反による罰金刑以上の刑が確定された屋台営業者に対して営業許可取り消しを進める方針だ。

今回、捜査協議体の立ち上げや取り締まりを総括した特許庁の商標特別司法警察課長は「東大門周辺はソウルの真ん中に位置して多くの海外観光客が訪れる場所であることから、模倣品売り場としてセビッ市場が知られている現状は、知的財産先進国である韓国の国家イメージにダメージを与えかねない」とし、「今回、さまざまな捜査機関と自治体がセビッ市場の模倣品問題を深刻に受け止めて捜査協議体を立ち上げただけに、セビッ市場で模倣品販売が完全になくなるまで一丸となって取り締まりを続けていく」と述べた。

ジェトロ・ソウル事務所知的財産チーム

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