知的財産ニュース 「2024年度特許庁主要政策の推進計画」、審査・審判の品質強化と知財による輸出競争力向上が柱

2024年2月14日
出所: 韓国特許庁

先端技術の保護こそが経済安保を強化する

韓国特許庁は2月7日水曜日、知的財産を活用してグローバル先進国家として跳躍するための「2024年度特許庁主要政策の推進計画」を発表した。

米国・中国など主要国が、技術覇権争いが激化している背景を受けて先端技術の主導権を握るために積極的に知的財産政策を打ち出している中、韓国特許庁は、「審査・審判」、「国内の知的財産エコシステム」、「グローバル環境」など三つの分野にわたり、庁内力量・成長潜在力・輸出競争力の強化を目標に2024年度の5大推進戦略および10件の革新課題を作成した。


<審査・審判分野>


第一に、デジタル時代に見合う知的財産の行政革新を通じて特許庁の本来業務である審査・審判の力量を強化する。

二次電池産業分野の突出した技術力確保に向けた審査・審判の支援体系の拡大


韓国企業が先端分野分野のコア特許を先取りできるように、半導体に次ぎ二次電技術に関しても民間分野で退職した専門人材38名を特許審査官として採用(2024年2月末公告)し、関連出願を優先審査の対象に追加(2024年2月19日)する一方、専担審判部を指定・運営(2024年2月26日)して審査だけではなく審判まで支援するパッケージ体系を拡大する。チャットGPTなど生成AIの基盤になる大規模言語モデルを特許検索・商品分類などに採用する実装研究および学習データの構築事業を推進し、審判書類と証拠目録の統合照会サービスの提供および添付書類の自動分類拡大など、デジタル審判システムを高度化して世界トップレベルのAI基盤の知的財産行政サービスを構築し、審査・審判の品質と効率性を一段と高める。

<国内の知的財産エコシステム分野>


第二に、保護・創出・活用の全ての分野にまたぐ好循環の知財エコシステムを作ることで韓国企業の成長潜在力を最大限化する。

産業財産情報法の制定、先端技術海外流出の防止への道を開き


①保護面では、国家先端技術の海外流出防止のため防諜情報共有センターに技術と知財専門性を持つ人材を出向させ、防諜機関間の緊密な協調体制を構築し、「産業財産情報法」制定・施行に合わせて先端技術保有企業のデータベースなど知的財産ビッグデータを経済安全保障に活用できるよう国家機関に適時に提供できる基盤を設ける。

さらに、中小・ベンチャー企業の知的財産保護に係る安全網を緻密に構築するために検察庁・関税庁と協力して刑事司法情報システムの連携および偽造商品に係る通関情報の共有を進める。併せて、不正競争行為の行政調査の結果に基づく是正命令を導入し、履行しなかった場合に罰金(最大2,000万ウォン)を科す規定を新設することで知的財産侵害の捜査・調査の実効性を高める。

世界の5.8億件の特許ビッグデータで12大の未来国家戦略技術を発掘


②創出面では、デジタル時代の未来成長力を発掘するために特許戦略開発院内に「国家戦略技術特許支援団」を新設し、「国家戦略技術育成法」および「産業財産情報法」の制定に基づく国家研究開発事業の特許調査・分析の義務化を支援する。12大国家戦略技術分野に関する世界の特許ビッグデータを分析して主要競争国・企業の動向を把握し、有望技術を発掘して毎年国家科学技術諮問会議に報告することでR&Dの成果と効率を最大限化する。

また、インフラ拡充に向けて済州・全羅北道・釜山圏など三つの圏域に知的財産重点大学を追加設置することで、韓国型革新クラスターの重要人材になる創意・融合型の未来人材を育成する。職務発明補償金の雑所得の転換、特許出願以降無分別な発明者の追加・削除の防止など発明者保護に向けた充実な制度づくりを進めて研究者のモチベーションを高める。

企業の事業資金調達のために知的財産ファンドの予算に114億ウォンを投入


③創出された優れた知的財産の産業的活用が拡大されるよう、知的財産取引・移転、技術流出などさまざまな分野に適用できる新しい知的財産価値評価モデル開発を年内に完了し、AI基盤の価値評価システムを構築して知的財産や技術市場の全般に採用する。また、IP金融の拡大に向けて114億ウォンの予算を投じて特許専用のファンドを組成し、企業が安定的に事業資金を調達できるようサポートする。

さらに、知的財産の専門性を持つ民間投資機関が有望な知的財産を使って新しく事業を展開する企業を発掘して投資だけではなくIP戦略を総括し、特許庁は事業化をサポートする官民協業事業を立ち上げる。関係部署・自治体などと協力して先端技術分野企業のIP基盤事業化を総合的に支援する事業も推進することで、韓国企業の成長潜在力を高める。

<グローバル環境分野>


第三に、海外進出企業向けに抜け目のない知財支援体系を構築して輸出競争力を高める。

海外進出企業向け緻密な知財支援網を構築することで輸出ドライブを加速化


国別支援のIP-DESKを広域型海外IPセンターに改編して支援国を11か国から40か国に大幅に拡大し、海外現地の知財権取締り機関との協力もASEAN全体に段階的に拡大※して知財権保護の抜け穴を解決する。また、輸出有望中小企業に3年間知的財産総合サービスを提供してグローバルIPスター企業を育成する事業※※も約20%拡大することで、韓国企業の海外進出を積極的にサポートする。
※海外現地の知財権取締り協力国:(2023年)インドネシア→(2024年~)ベトナム・タイなどASEAN国家全体
※※グローバルIPスター企業の育成:(2023年)678社→(2024年)809社併せて、中東アジア・ASEANを中心に韓国型知的財産システムの輸出を拡大し協力分野を多角化するなど、韓国型行政サービスの持続的な拡散※を通じて市場開拓をサポートする。今年開かれるIP5長官会合の韓国開催(ソウル、6月18日~20日)、タイ・イギリスとのFTA交渉などを成功裏に終わらせ、知的財産国際ルールづくりをリードし、韓国企業が活躍しやすい知的財産環境を作っていく。
※(サウジ)審査ハンドブックの作成、国際特許調査・予備審査機関の業務支援、(UAE)第4次審査官支援団として5名の審査官出向、新人審査官教育の委託業務、(カタール)国家知的財産戦略の作成支援

特許庁長職務代理は「グローバル技術覇権争いの中で知的財産は韓国の先端技術と企業を守る武器になると思う」と強調し、「特許庁は知的財産の担当部署として韓国企業や国民に迅速かつ的確な審査・審判サービスを提供する一方、知的財産ビッグデータを活用して先端技術の海外流出を防ぎ、韓国の未来産業を発掘していくことで輸出ドライブを加速化し、韓国がグローバルリーダーとして跳躍するよう支えていく」と述べた。

ジェトロ・ソウル事務所知的財産チーム

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