知的財産ニュース 特許情報の活用で国家技術力量を強化する「産業財産情報活用促進法」が国会で成立され

2024年1月30日
出所: 韓国特許庁

技術流出防止やR&D・産業支援に向けて特許情報を分析・提供する

韓国特許庁は、特許・商標・意匠など産業財産情報の幅広い分析および活用を柱とする「産業財産情報の管理及び活用促進に関する法律」(以下、「産業財産情報活用促進法」とする)の制定案が30日、国務会議で成立したと発表した。

特許庁は、最新技術、企業・研究者の情報などを含め世界の5.8億件の特許情報を確保しており、特許情報は研究開発(R&D)の重複防止および産業・経済・安全保障の主要課題の分析、国の政策および企業の経営戦略を立てる際に活用できる非常に重要な情報である。
※特許情報確保の推移(件):(2020年)4.8億→(2022年)5.3億→(2023年)5.8億

しかし、このように膨大な特許情報を保有しているにもかかわらず、これまで活用できる法的根拠の不備により、国家戦略技術を発掘・分析するか、技術流出の防止、企業の技術開発を行う上で特許情報を積極的に活用するには困難があった。

特許情報の戦略的分析および活用に向けた制度を設ける

「産業財産情報活用促進法」の制定により、特許情報の戦略的分析および活用体系を構築する法的根拠を設けたことで、特許情報を活用できる範囲が大幅に広がる。

「産業財産情報活用促進法」は、①国家安全保障・技術流出防止を目的とする産業財産情報の提供、②技術・産業支援を目的とする産業財産情報の分析・活用、③特許情報に係る事業の根拠づくりなど、大きく3つに分けられる。

技術流出防止およびR&D・産業支援に向け特許情報を分析・提供する

①国家安全保障に関わる技術の流出を防止するために、出願中の特許情報を分析・活用できる根拠を設け、分析結果を関係する国家機関に提供するなど、技術保護に向けて機関同士の協力体系を構築できる。

②R&D・産業支援のために、発明者の情報(公開情報)を含めた特許情報を収集して見直し、これを適時に加工・分析して国家レベルのR&Dや技術・産業に関する戦略を立てる際に活用できる根拠を設けた。

③特許情報システム・データベースの構築および情報化事業に取り掛かる根拠を設けることで、特許情報を総合的かつ体系的に管理し活用度を高めていく。

国務会議で成立した「産業財産情報活用促進法」は2024年2月6日に公布、産業財産情報の利用・提供に関わる細部事項および国家安全保障を目的とする産業財産情報の提供内容・手続きなどに関する施行令の制定を経て、公布後6か月が経過した8月6日から施行される。

特許庁長職務代理は「今回の産業財産情報活用促進法の制定を機に、国家戦略技術などの育成と保護のために特許情報が積極活用され、特許ビッグデータを基盤に産業・経済・安全保障に関わる国政運営を支える環境につながることを期待する」と述べた。

ジェトロ・ソウル事務所知的財産チーム

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