知的財産ニュース 韓国特許庁、228億ウォン規模のIP直接投資ファンドを組成
2024年1月15日
出所: 韓国特許庁
特許権の購入などの手法で直接投資しライセンス収益を生み出す
優れた特許を保有しているが、事業化につなげることが難しいスタートアップ企業が特許権を活用して投資を受ける時代が到来すると見込まれる。
韓国特許庁は、特許権を購入するなどの手法で知的財産(IP)に直接投資し、これを活用してライセンス契約などによる収益を生み出す「IP直接投資ファンド」を今年228億ウォン規模で組成すると発表した。
韓国国内のIP直接投資市場は、まだ民間では自発的な投資ファンドが組まれていないのが現状であるため、政府の財源を基にしたファンドが組成されれば、金融界など民間からの投資誘致に著しい効果があると思われる。
今年IP直接投資ファンドを新しく組成することで、特許権活用の可能性を高め、コア技術の海外流出の防止や産業財産権の貿易収支の改善にもつながると期待される。
これまで韓国内でのIPへの投資は、企業の特許技術事業化への資金調達を支援する①「IP企業投資」が主となっていたが、これからは②「IP直接投資」へとIP金融の幅が広がる。
【IP投資分野】
IP投資には、①特許の価値評価の結果を基に特許技術事業化を図る企業に資金を投資する「IP企業投資」の分野と、②「特許権を購入するなどを手法で直接投資を行い、ライセンスによる収益を生み出す「IP直接投資」の分野がある。
※ファンド組成の規模:(企業投資)2兆4,434億ウォン(2006年から)/(直接投資)1,513億ウォン(2020年から)
IP直接投資では、ファンド運用会社が独自に定めるルールに基づき投資候補の企業を対象に審議を経て投資可能性の有無と投資規模などを決める。IP直接投資の支援対象は、韓国の産業財産権を活用してライセンス契約などによる収益化を希望するスタートアップ企業など中小・ベンチャー企業である。
民間のさまざまなIP・投資分野の専門家からの意見を踏まえて主要投資対象の要件などを見直し、2~3月頃には母胎ファンド※(運用会社:韓国ベンチャー投資)を通じて運用会社の選定手続きに入る。
※韓国母胎ファンド:韓国政府が中小・ベンチャー企業の育成を目的に直接企業に投資せず、予めファンドを作っておいて、ベンチャーキャピタルに出資する方法でベンチャー企業に対し支援を行う方法
特許庁の産業財産政策局長は「IP直接投資ファンドは、韓国の中小企業・大学・公共研究機関が保有する特許を直接活用することで、韓国のコア技術の海外流出を防ぎ、海外で知財を基に収益化を図ることで産業財産権の貿易収支の改善にもつながる効果が得られると期待する」とし、「インフラへの投資となる『企業投資』と今回組成する『直接投資』の両方を円滑に運営することで、韓国でIP投資を活性化する環境を早期に定着できるよう引き続き努力していく」と述べた。
ジェトロ・ソウル事務所知的財産チーム
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