知的財産ニュース 半導体専門人材39名、特許審査官としてセカンドキャリアを歩む
2024年1月2日
出所: 韓国特許庁
経験豊富な経歴者を採用…韓国半導体の突出した技術力の確保につなげる
[第一次半導体分野採用で入庁した特許審査官の感想]
▶(A審査官、1963年生まれ)韓国の半導体大手で研究職を30年間勤めたあと退職。大手企業の研究員の経歴を生かして特許審査官としてセカンドキャリアを始めた。特許は韓国の産業基盤を育成する大事な役割を果たすものであり、これに貢献できる非常に働きがいのある仕事だと思う。▶(B審査官、1977年生まれ)海外企業から当時在籍していた企業の年収4倍を提案されスカウトされた。しかし、海外に韓国の技術を奪われてしまうよりは特許庁の審査官としてセカンドキャリアを歩み出し、民間で身に着けてきた知識や経験を公職で生かしていきたいと思った。
韓国特許庁は1月2日火曜日、「第二次半導体分野の特許審査官の採用」の最終合格者39名を任用した。
今回の採用は、世界で半導体をめぐる技術の覇権争いが激しくなっている中、半導体分野の優秀な人材の海外転職により韓国のコア技術が流出されることを防ぎ、専門人材の豊富な経験や知識を特許審査業務に活用することで突出した技術力の確保につなげるための国政課題の一環として行われている。
昨年2月に半導体分野の民間専門家30名を審査官として採用したことに次ぐ2回目の採用である。
当初は、専門任期制公務員※という条件と2023年上半期にも採用が行われたため応募率が低いとの懸念もあったが、特許審査官という職務に対する第一次任用者の前向きな評価と、一般職公務員とは異なり定年がなく民間分野での経歴が認められ5級の一般職公務員より報酬が高いことから、191名が応募し約5倍の倍率となった。
※専門任期制(ロ級):専門的な知識や技術などが求められる業務を行うために任用する任期制公務員(5級相当)として、最初1年勤務した後、最大10年まで期限を延長できる
また、今回の特許審査官の採用は、先端技術保護に対する国の強い意志と退職を迎える民間人材の専門性を再び公職で活用させる新しい試みがうかがえるという点が高く評価され、人事革新処主管の「2023年度人事革新の優秀事例大会※」で大賞(大統領賞)を受賞(2023年12月13日)した。
※中央部処、市・道教育庁、公共機関など69の機関が計134件の事例を提出
最終合格者の統計をみると39名のうち、最高齢合格者は59歳(1964年生まれ)が4名であり、最年少合格者は38歳(1985年生まれ)と平均年齢は53.6歳である。
また、半導体分野の平均経歴26年2か月、修士・博士号取得者の割合69.2%、現職者の割合84.6%と、最新技術の動向に詳しい半導体分野の専門人材が多数採用された。
合格者は新規審査官教育(2024年1月2日~2024年1月19日)および新規公務員職務教育(2024年1月22日~2024年1月26日)を受けた後、半導体の設計・工程・素材など技術分野別の部署に配置され特許審査業務を行う。また、審査業務の力量を高めるため先輩審査官からメンタリングを受ける。
特許庁長は「今回の採用により半導体分野で特許審査の迅速化を図り、特許審査官という公職に対し民間人材が高い関心を持っていることがわかった」とし、「今後も優秀な技術人材が公職に就く働きがいを感じられる環境を作るために、二次電池などの先端技術分野での採用をさらに拡大していく」と述べた。
ジェトロ・ソウル事務所知的財産チーム
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