知的財産ニュース 韓国特許庁と警察署、ICPOから紫手配書の発行を受け…産業財産権分野では世界初
2023年12月28日
出所: 韓国特許庁
意匠権侵害に関する新種犯罪手口をICPOの加盟国と共有
韓国特許庁の技術デザイン特別司法警察と警察庁のインターポール国際共助担当官は27日、韓国国内のデザイン侵害犯罪者に対し国際刑事警察機構(以下、ICPO)から紫手配書(国際特殊手口手配書)の発行を受け、ICPOの196か国の加盟国と共有したと発表した。
産業財産権分野では初めてICPOから紫手配書を発行…新種犯罪の手口を共有
紫手配書はICPOが発行する8種類の手配書のひとつであり、加盟国間で新しい犯罪手法を共有して国境をまたいで発生する類似の犯罪を予防する目的である。産業財産権分野で紫手配書が発行されたのは今回が世界で初めてのことである。
今回の紫手配書には、「ロス」製品の偽装販売など意匠権侵害および商品形態の模倣に関連する新種犯罪の手法などの内容が盛り込まれている。
ロス製品とは、メーカーが不良品への対応に備えて委託製造業者に超過発注した製品にタグを付けずに販売する製品のことである。当該の事件では、真正品とは違うの材料で作った模倣品をロス製品とだましてほかに流通されている模倣品よりさらに高い値段で販売して利益を残した。
韓国、知的財産権保護に向け国際社会と治安を守る
最近、国境をまたいで発生する知能化した新種犯罪が増えている中、意匠権侵害の犯罪の場合も捜査機関が犯罪の発生を認知し捜査に取り掛かることで犯罪者を摘発できる。
一国の力では国際犯罪を防ぐことが難しいため、ICPOにより紫手配書が発行されたことは、韓国が国際社会の治安を守るために積極的に協力しており、知財権保護のために刑事事件の解決にも努力していることを発信する大きな意味を持つ。
2011年から発行されている紫手配書1,240件のうち、韓国が申請して発行された手配書は、今回の事例を含めて麻薬8件、振り込め詐欺3件、海上拉致3件、特殊窃盗1件、銃器製造1件、密入国1件、文化財の不正搬出1件、産業技術流出1件、NFT詐欺1件と計21件である。
特許庁の産業財産保護協力局長は「特許庁は知的財産侵害の犯罪を根絶するために、専門の捜査人材と組織を構築しており、今回のICPOによる紫手配書の発行をきっかけに幅広い範囲で知財権保護に取り組む特許庁の活動を世界に知らせ、今後もICPOと国内外の知財権侵害製品の生産・流通に関する情報共有を高めることで、知財侵害犯罪に厳重に対応していく」と述べた。
警察庁の国際協力官(インターポール国際共助担当官)は、「警察庁は国家中央事務局の地位を持っているため、警察庁以外にも韓国の法律執行機関がICPOの広範囲にわたるインフラやネットワークを活用できるよう支援している。今回、紫手配書の発行手続きで特許庁を支援したこともこのような環境が整っているためであり、この事例をきっかけに模倣品の生産や流通による被害が大きい企業の被害を防ぎ、模倣品に対する世界市民の認識が改善すると期待される。今後も警察庁はICPO、警察駐在官など警察が保有する能力で総力を挙げて国際犯罪の予防に貢献していく」と述べた。
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