知的財産ニュース 韓国特許庁、健康食品分野での知財権の虚偽表示503件を摘発

2023年12月27日
出所: 韓国特許庁

消滅した知財権を有効な権利として表示したケースが最多(85.5%)

韓国特許庁は27日、健康に対する意識が高まるにつれ、健康機能食品への需要が増加※しつつあることから、健康食品分野の全般にかけて知的財産権の虚偽表示の集中取り締まり(2023年8月11日~9月20日)を行い、503件を摘発したと発表した。
※2022年の韓国国内の健康機能食品の市場規模は6兆ウォンを超え、2019年の約4兆8,000億ウォンから4年で25%増加(韓国健康機能食品協会、「ひと目でわかる2022健康機能食品の市場」、2022)

健康機能食品は国民の健康・安全と深く関わっているだけに、今回の取り締まりでは、ECサイト※で販売されている健康機能食品だけではなく、健康補助食品と一般食品に分類される加工食品まで健康食品分野の全般に調査対象を広げた。調査結果、22点の製品から503件の知財権の虚偽表示を摘発した。
※11番街、Gマーケット、ネイバースマートストア、オークション、ウィメプ、インターパーク、クーパン、ティーモン、SSG、ロッテオン

<調査対象の類型と販売されている製品の例>
区分 概念および例
健康機能食品 人体に有用な機能性を持つ原料や成分を使って製造・加工した食品として食品医薬品安全処の認定を受けて国民の健康増進に役立つ食品(例:乳酸菌(カプセル))
健康補助食品 補助的な役割をする名称として法律で定める健康機能食品ではない(例:かぼちゃ汁(エキス))
その他加工食品 嗜好食品として一般食品に分類され、法律で定める健康機能食品ではない(例:グルタチオン(フィルム)、プロバイオティクス(顆粒))

摘発された虚偽表示の類型をみると、▲権利消滅後にも有効な権利として表示したケース430件、▲特許番号の記載ミス32件、▲登録拒絶された権利を表示したケース19件、▲出願中の特許権などを登録済みと表示したケース7件、▲その他15件(知財権の名称の記載ミスなど)であり、販売者が消滅した権利を継続して表示する手法で知財権を虚偽に表示するケースが最も多いことがわかった。

摘発された製品の種類をみると、▲紅参エキス製品115件、▲乳酸菌製品74件、▲白首烏製品57件、▲レシチン製品53件、▲β-グルカン製品46件、▲その他(鹿茸、エキスなど)158件であり、さまざまな種類の健康食品に知財権の虚偽表示があったことがわかった。

特許庁は摘発した製品に対し、ECサイトの事業者と協力して販売者に対して知財権の虚偽表示に当たることや正しい表示方法を通知し、修正・削除などの是正措置を行った。

特許庁の産業財産保護協力局長は「健康機能食品は国民の健康・安全に深く関わる品目として、消費者保護のために調査対象を健康機能食品に絞らず健康食品の全般に広げて調査を行った」とし、「今後も国民安全に関わる品目、虚偽表示が頻繁に発生する品目に対する調査を徹底し、知財権が虚偽表示されることを事前に防ぐための啓発活動を広げていく」と述べた。

特許庁は今年1年間、消費者の被害防止のために国民の関心が高い学習用品、健康食品分野などを対象に約4万件のインターネット上の掲載を調査し、そのうち2,527件の虚偽表示を摘発して是正措置を行った。

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