知的財産ニュース 第29回中韓特許庁長官会合が4年ぶりに対面形式で開催され

2023年11月30日
出所: 韓国特許庁

企業向け教育拡大、連絡官の相互派遣の再開、商標審判の協力体系の構築などで合意

韓国特許庁は11月30日木曜日9時30分、SIGNIEL釜山(釜山市海雲台区所在)にて中国国家知識産権局※(China National Intellectual Property Administration)の申長雨( Shen Changyu)庁長と4年ぶりに対面形式で「第29回中韓特許庁長官会合」を開いた。両庁長は、中国や韓国市場に進出しているか進出する予定の両国企業を支援するために知的財産権の教育プログラムを拡大し、連絡官の相互派遣を開催することで合意した。
※特許庁に相当する機関であり、特許・商標・意匠の審査および審判業務を総括する

両国企業向け知的財産権の法律・制度の教育を拡大

両国の知的財産研修機関※は、自国に進出しているか進出する予定の相手国企業向けに昨年から知的財産権の法律・制度と新技術分野に関する特許制度の教育を行っている。韓国で実施された中国企業向けの教育プログラムには行政活動の一環として中国語の講義も含まれ、参加企業の満足度が高かった。今回の会合で教育範囲や対象の拡大が合意され、相手国の知的財産の法律・制度などに関する両国企業の理解度が高まることにより、さらに効果的な現地での経営活動が期待される。
※韓国:国際知識財産研修院、中国:知識産権トレーニングセンター

コロナ禍により中止された連絡官の相互派遣の再開に合意

両庁長は相互の連絡官への派遣を再開することで合意した。中韓特許庁の連絡官は2008年から相互派遣を行っていたが、コロナ禍により2020年2月以降中止している。これまで韓国側は6か月から1年単位で13人を、中国側は3か月から6か月単位で27人を派遣してきた。連絡官は、両国特許庁の交流・協力事業の現地支援、知的財産権の動向の把握、進出企業の知的財産権の確保および紛争対応への支援などの業務を行っている。両庁長は派遣時期と方法など詳細については今後の実務会合で決めることで合意した。

両国間の商標審判の協力体系構築に合意

両庁長は、これまで特許審判と合わせて議論してきた商標審判について別途の協力体系を構築し、詳細については今後の実務会合で決めることで合意した。これにより両国企業などの商標権保護および審判分野制度に関する議論をめぐり情報交換が深まると期待される。

韓国のイ・インシル庁長は「4年ぶりに対面形式で開かれた韓中特許庁長官会合で、両国企業向け知的財産権の教育プログラムを拡大、連絡官の相互派遣の再開、商標審判分野での別途の協力体系の構築について合意したのは非常に意義がある」とし、「韓国にとって最大の貿易相手国である中国市場で韓国企業が知的財産分野で有効に事業展開できるよう、今後も中国知識産権局とさらに緊密な協力を図っていく」と述べた。

ジェトロ・ソウル事務所知的財産チーム

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