知的財産ニュース 韓国特許庁、「2023特許技術賞」の授賞式を開催

2023年11月16日
出所: 韓国特許庁

特許審査官が選定…ヒューロム、サムスンSDI、サムスン電子などが受賞

韓国特許庁は11月16日木曜日、中央日報の社屋にて「2023特許技術賞」の授賞式を開催したと発表した。

特許技術賞の授賞式は、発明者のモチベーションを向上させ発明に対する関心を高める趣旨で優秀な技術を発掘・選定するイベントであり、特許審査官が選定プロセスに直接参加する。

世宗(セジョン)大王賞:株式会社ヒューロムの「分離スクリューおよび分離スクリューを採用した搾汁機」

1位の世宗大王賞は、「分離スクリューおよび分離スクリューを採用した搾汁機」を発明した株式会社ヒューロムのキム・ヨンギ、イ・チャウ研究員が受賞した。

従来のネット付き搾汁機は使用の際にネットの穴が塞がることが多く圧着と洗浄がスムーズでないとの問題があったが、株式会社ヒューロムはフィルターネット付きの仕組みから入れ替えできる2つのモジュールを組み合わせネットなしでも汁と搾りかすをスムーズに分離できる新しい仕組みの搾汁機を発明した。この特許技術を採用した搾汁機は、優れた搾汁機能と利便性から29か国の消費者の好評を受け、累積売上高が1,234憶ウォンに達している。

忠武公(チュンムゴン)賞:株式会社サムスンSDI・サムスン電子の「リチウムイオン二次電池に採用されるシリコン複合体の仕組み」

2位の忠武公賞は、リチウムイオン二次電池に採用されるシリコン複合体の仕組みを発明したムン・ジョンソク研究員外6人(株式会社サムスンSDI・サムスン電子による共同出願)が受賞した。

シリコンは二次電池の容量を一段と向上させる素材であるにも常用化が難しい問題があったが、今回受賞した特許技術は、ナノシリコンに二重層の炭素材を用いることで電池の容量向上や寿命延長を図るだけではなく安定性を確保して、今後の二次電池のエネルギー密度を向上させる次世代エネルギー技術である。

池錫永(チ・ソギョン)賞:株式会社トンジンセミケム・株式会社SKハイニックス、株式会社CJ第一製糖

池錫永(チ・ソギョン)賞は、「ハードマスク用の化合物、その化合物を含むハードマスク組成物およびこれを用いた半導体素子のパターン形成方法」に関する特許でイム・ヨンベ研究員外11人(株式会社トンジンセミケム・株式会社SKハイニックスによる共同出願)、キャップ(蓋)およびキャップの分離方法」に関する特許で株式会社CJ第一製糖のイ・ビョングク研究員外2人が受賞した。

株式会社トンジンセミケム・株式会社SKハイニックスは、従来の半導体のパターン形成の工程において低い効率性や製品性能を改善するために、高炭素・高密度の仕組みであるスピンコート型のカーボンハードマスク※の化合物(Spin on Carbon Hardmask, SOC)を開発して半導体素材の技術競争力を高め、自給化に向けて高い性能のパターン形成技術を発明した。
※半導体製造の工程においてパターンを有効に形成するために用いられる材料

株式会社CJ第一製糖は、消費者が簡単に取り外してリサイクルできるキャップの仕組みを開発することで消費者の利便性を向上させ、複数の材料が使われたパッケージをリサイクルする際の問題点を解消し廃棄物を極力減らす技術を発明した。

洪大容(ホン・テヨン)賞:株式会社ビットセンシング、株式会社エートゥゲン、株式会社エアーレーン、株式会社トンファエレクトロライト

洪大容(ホン・テヨン)賞は、株式会社ビットセンシングのレーダー装置の発明、株式会社エートゥゲンの謝性疾患の改善効果のある菌株の発明、株式会社エアーレーンの気体分離用の中空糸膜の発明、株式会社トンファエレクトロライトの二次電池の電解液の化合物質に関する発明が受賞した。

特許技術賞の受賞者には、最大1,500万ウォンの賞金と特許庁の発明奨励事業※による支援、発明のビジネス化およびマーケティングのための特許技術賞の受賞マークが提供される。
※優秀発明品の優先購買およびイノベーションIP製品の支援対象の募集時の優遇

特許庁長は「特許技術賞のイベントで紹介された革新的な発明は、韓国企業がグローバル市場で跳躍できる成長エンジンになると期待できる」とし、「特許庁は、韓国が技術大国を目指す基盤となる発明者によるイノベーションでクリエイティブな知的財産を、有効に活用し保護できるよう支援に取り組んでいく」と述べた。

ジェトロ・ソウル事務所知的財産チーム

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