知的財産ニュース 「AIによる発明に対する国民認識調査」結果を発表
2023年11月14日
出所: 韓国特許庁
AIの技術レベルについて一般人は発明パートナー、専門家は発明のツールと認識
韓国特許庁は14日、人工知能(AI)を発明者として認めるべきかどうかなどについて、行政活動の一環として国内で初めて「人工知能による発明に対する国民意識調査」を実施し、その結果を特許庁ウェブサイト※などで公開すると発表した。
※特許庁ウェブサイト→知的財産制度→人工知能と発明→国民認識調査の結果
若い世代からの関心が高く、アンケート調査には約1,500人が参加
アンケート調査は、大衆向けの一般人用とAI専門家が参加する専門家用の2つに分けて今年7月20日から9月30日まで実施された。これまで特許庁が行ったアンケート調査には弁理士や特許出願人などが主に参加していたが、今回の調査では一般人1,204人、専門家292人など約1,500人が参加して一般国民からの関心が高いことがわかった。
一般人用の調査では20~30代が参加者の約5割を占めて若い世代からの関心が高く、専門家用の調査では弁理士(48.6%)以外にも大手企業・公共研究機関の研究家が全体参加者の33.6%を占めAI技術の専門家からの参加率も高かった。
「一般人、AIは『発明パートナー』VS専門家、AIは『発明のツール』」、認識違いがみられ
AIが発明にどのレベルまで貢献できるかについて一般人の70%は「発明のパートナー」と答えた一方、専門家の66%は「現時点では人をサポートするツールにすぎない」と答えた。
一般人は、翻訳、問い合わせ、検索など日常生活の中でChat GPTなど高性能AIを活用しているためAIの開発スピードが速いと考えている一方、専門家は発明・開発など専門分野ではまだ解決すべき課題が多いとみていた。
「AIを発明者として認めるべきかどうか」についてはネガティブ意見が多く…特許権はAI使用者が取得すべき
専門家用の調査では、AIを発明者や特許権者として認めることに対するネガティブ意見が多く※、多くの専門家が現段階でAIが法律上の権利、義務の主体になるのは適切ではないと考えていることがわかった。
※AIを発明者として認定:反対60.8%、AIを特許権者として認定:反対75.6%
仮にAIが発明に貢献した点を認めてその発明に対して特許権を与えるなら、AI使用者※がその特許権を取得すべきだとの意見が多数だった。
※AI使用者(例:AIが持つ基盤技術を活用して発明した者):50.5%>AIの開発者(例:グーグルAIの基盤技術の開発者):22.7%>AIの所有者(例:グーグル):16.2%など
また、一般人と専門家いずれもAIが発明に貢献した特許は特許権の現行の保護期間(20年)より短縮すべきだとの意見が多かった※。AIは短期間でも数多くの発明ができるため、人間の創作領域を過度に侵害する恐れがあることがその理由だと考えられる。
※現行の保護期間より短縮または保護期間の不要:一般人75%、専門家65%
今回の国民認識調査結果は特許庁ウェブサイトより閲覧できる。また、11月末に開かれる日中韓特許庁長会合で今回の調査結果について発表し、来年韓国で開かれる五庁(日米欧中韓の知的財産庁)特許庁長(IP5)会合でも案件として発表する計画である。
特許庁長は「韓国はIT大国というプレゼンスにふさわしくAI技術や関連話題について国民からの関心が非常に高いことが今回の国民認識調査からわかった」とし、「今後特許庁はIP5会合、世界知的所有権機関(WIPO)などとAI関連特許制度に関する議論をリードし、特許制度の国際調和に向けて取り組んでいく」と述べた。
ジェトロ・ソウル事務所知的財産チーム
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