知的財産ニュース インドネシア知的財産庁とIP侵害の取り締まり強化に向けて協力拡大
2023年11月7日
出所: 韓国特許庁
韓国・インドネシア間の常時協力体制を通じて輸出企業の知財権保護を強化
インドネシアは天然資源が豊かな国であり、人口が2憶7,000万人の巨大市場として韓国の消費財企業が東南アジア地域での輸出市場拡大を考える上で最も注目している国である。また、東南アジア諸国連合の加盟国の中では韓国企業による商標件数は2位、特許件数は3位であり、知的財産分野においても重要な国である。こうした背景から、インドネシアにおいて韓国輸出企業の知財権の保護がますます求められている。
韓国特許庁とインドネシア知的財産庁(DGIP)が2024年から常時協力体制を通じてインドネシアに進出する韓国企業が受ける知財権侵害への取り締まりを強化することで合意した。
韓国特許庁・インドネシア知的財産庁(DGIP)間の知財権侵害の取り締まりに関する情報共有および業務協力を拡大
韓国特許庁はインドネシア知的財産庁の公務員を招待し「韓・インドネシア知財権保護政策の発表会(10月26日韓国政府大田庁舎)」を開催して技術・商標警察の知財権保護・執行政策を紹介し、インドネシア知的財産庁は捜査・紛争解決局による自国での知財権の取締り活動を紹介した。両国は効果的な知財権の取り締まりが経済活動の基礎となる考え方を共有し取り締まり業務を進める際の情報共有や協力を拡大していくことで合意した。
また、韓国特許庁がインドネシア知的財産庁と今年9月に締結した「特許審査ハイウェイ(PPH※)協力MOU」などに基づく両国の協力関係を確認し、捜査情報の交換および定例共同発表会の推進など知財権侵害の取り締まり分野において今後の協力方向を議論した。
※PPH(Patent Prosecution Highway):同一の発明を韓国、インドネシアの特許庁に出願し一つの国で登録された場合、これを相手国に提出して優先審査を受けることができる制度
インドネシア知的財産庁アノム(ANOM WIBOWO)捜査・紛争解決局長は「インドネシアでは『韓流(K-wave)』ブームを『K-ツナミ』とも呼ぶ」とし、「韓流ブームにより広がりつつある韓国企業の製品に対する知財権侵害の取り締まりに取り組んでいく」と述べた。
インドネシアに進出する企業が受ける知財権侵害、DGIPによる迅速な取締りや対策で解決できる
インドネシアに進出する多くの韓国輸出企業の知財権保護の方策を議論するため「インドネシアにおける輸出企業の知財権保護戦略に関する発表会(10月27日、ソウル)」も開催された。
発表会に参加した韓国企業は、①商標の冒認出願の被害を受けた際の法的救済、②商標の冒認出願など知財権紛争を予防するための注意事項、③不使用先行商標の対応策、④インドネシアで特許訴訟を起こした際の権利者の勝訴率および特許審査期間の現況、⑤悪意のある商標仲介人と関連した制度の改善方向など、インドネシアで事業を展開している韓国輸出企業が実際に抱えている知財権をめぐる困難についてインドネシアの知財権侵害取締り担当の高官級公務員との充実した質疑応答の時間を設けることができた。
インドネシアに進出している韓国S社からの反応
「現地における知財権保護、商標制度・手続などに高い関心を持っていたが、インドネシア知的財産庁の高官級公務員から直接質問に対する答えを聞くことができる有意義な時間となり、今後このような機会を増やしてほしい」
インドネシア知的財産庁アノム(ANOM WIBOWO)捜査・紛争解決局長など関係者は「インドネシアに進出する韓国企業が知財権紛争に巻き込まれた場合、インドネシア知的財産庁に直接通報するか捜査を求めたら迅速かつ積極的に取り締まる」とし、「今年9月に締結した韓・インドネシアの『特許審査ハイウェイ(PPH)協力MOU』に基づき迅速に特許を受けることができる」と強調した。
今後の計画
韓国特許庁長は「今回行われたインドネシア知的財産庁の高官級公務員の韓国訪問は、韓・インドネシア首脳会談(9月8日)で議論された韓国輸出企業が受ける商標権侵害など知財権をめぐる困難を解決するための後続措置として行われた」と強調し、「今回の韓・インドネシア共同の知財権発表会を通じて両国間の知財権侵害の取り締まりへの協力を深め、韓国輸出企業がインドネシアの知財権侵害取締り担当の高官級公務員に模倣品など知財権と関連して抱えている困難を直接伝えて、これを迅速に解決できるきっかけとなる成果となった」と話した。また、「今後も特許庁は海外知的財産センターを通じて韓国企業の海外進出を支えるために知財権保護を強化していく」と述べた。
ジェトロ・ソウル事務所知的財産チーム
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