知的財産ニュース 韓国特許庁と検察庁、「技術流出による被害額算定の価値評価導入に向けた討論会」を開催
2023年11月5日
出所: 韓国特許庁
技術流出による被害額算定の基準を明確に定める
韓国特許庁と検察庁は国家情報院から支援を受けて11月3日午前10時、ソウルELタワーにて「技術流出による被害額算定の価値評価導入に向けた討論会」を開催すると発表した。
技術流出による犯罪は、企業が時間や費用をかけて開発してきた技術を奪取する行為であるため、被害を受けた企業の成長ポテンシャルを低下させ、事業回復が不可能な程度まで被害を与える重大な犯罪である。にもかかわらず、技術流出による被害額の算定に困難を抱えるケースが多いため、罪に相当する処罰が下されないとの指摘が多い。軽い処罰により犯罪の予防効果が低いため、韓国企業が受ける技術流出による被害が発生し続けている。
これを防ぐため、特許庁と検察庁は研究分析・依頼などを通じて技術流出による被害額の算定方式をシステム化するための方策を検討してきた。今回の討論会は、関係機関が技術流出による被害額の算定基準を設ける重要性に対するコンセンサスを形成し、これまでの研究による改善方策を共有する一方、今後の課題や推進策を模索する趣旨である。
具体的には海外による技術流出被害およびその損害額の算定に対する方策の提示(韓国刑事・法務政策研究院ユン・へソン先任研究委員)、技術流出防止のための被害額の算定(韓国科学技術院チョン・ウジョン教授)、技術流出とIP価値評価(韓国科学技術情報研究院イ・ジョンテク責任研究員)などを議論する。
また、今回の討論会では、国家情報院、産業部、警察庁など技術保護の関係各所の関係者やIP価値評価を行う評価機関の実務者なども参加して意見を交換する。
検察庁の科学捜査部長は「技術流出行為は、企業の生存を脅かすだけでなく、国家安全保障や経済にも悪影響を与える重大な犯罪であるにもかかわらず、被害額の特定が難しいため、量刑判断に十分反映されていない。検察は技術価値を算定できる方策を設けることで量刑判断に反映されるよう取り組む」と述べた。
特許庁の産業財産政策局長は「技術は国の競争力に直結するものであるだけに、技術流出による被害額の算定が難しいことが原因となり相当する処罰が下されていない現状を変えることが至急である」とし、「今後も検察庁など関係各所と引き続き協力し、技術流出による被害額算定の価値評価システムが定着できるよう取り組んでいく」と述べた。
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