知的財産ニュース 韓国が掃除用ロボットの特許出願件数トップ

2023年10月30日
出所: 韓国特許庁

世界の掃除用ロボットの特許出願件数、10年間年平均36.9%成長


最近、AI制御技術の進化を受けて掃除用ロボット市場が急成長している。世界の掃除用ロボット市場は2022年約7.6兆ウォン(56.5億ドル)から年平均23.4%増加し2030年には40兆ウォン(298.2憶ドル)規模に達するとみられる。これを受けて掃除用ロボット市場をリードするための技術開発が活発に行われている。
  • Grand View Research, “Robotic Vacuum Cleaner Market Size …”, 2022. 11.

世界の掃除用ロボット関連の特許出願件数がここ10年間年平均36.9%ずつ増加しているなか、韓国の出願件数が全体の35.8%を占めトップとなっている。

世界の掃除用ロボットの特許出願件数、ここ10年間年平均36.9%増加

韓国特許庁が五庁(IP5:韓国、アメリカ、中国、EU、日本の特許庁)に出願された世界の掃除用ロボットの特許を分析したところ、2011年には53件にとどまっていた出願件数が10年で36.9%増加し、2020年には894件に達している。とりわけ、ここ5年の平均増加率は51.7%と出願件数増加のスピードが速まっていることがわかった。

国別の特許出願の動向:韓国が35.8%と当面トップの座を維持できるとみられる

国別の出願件数の割合をみると、トップの韓国が35.8%(1,321件)と最も多く、中国が35.7%(1,317件)と2位を占めている。次に3位がアメリカ12.8%(473件)、4位が日本4.5%(167件)、5位がドイツ3.3%(120件)となっている。

ここ10年間の年平均増加率をみると中国が91.9%とトップであり、韓国が39.6%と2位を占めている。しかし、ここ5年間の年平均増加率は中国(55.1%)を抜いて韓国が67.1%となっているため当面は韓国がトップの座を維持するとみられる。

主要出願人:LG電子は1位、サムスン電子は3位を占め技術開発をリードしている

主要出願人には韓国のLG電子(26.6%、980件)の件数が最も多く、2位はアメリカのアイロボット(5.4%、198件)、3位韓国のサムスン電子(5.2%、193件)、4位スウェーデンのエレクトロラックス(3.0%、111件)、5位中国のアミクロ(2.3%、86件)となっている。とりわけ、LG電子の場合全体の26.6%を占め2位との差が大きく広がっている。ほかにも韓国のネイバー(0.3%、11件)が38位、韓国電子通信研究院(0.3%、10件)が43位と出願件数が多いことがわかった。

出願人の分類別の動向:企業が日常生活に密接な関わりのある技術開発をリードしている

掃除用ロボット分野の全体の特許出願件数で企業は92.1%を占め割合が大きく、大学による出願3.6%、個人出願3.4%、公共分野による出願0.9%となっている。この出願は商用化されている製品に採用された技術であり、多くの企業が技術開発に取り組んでいることがわかった。

特許庁の知能型ロボット審査課長は「掃除用ロボットには精密製造業の技術とAI制御に使われる情報技術の融合が必要だが、韓国はいずれの技術においても強みをもっている」とし、「韓国企業による技術進化によって家事労働からの開放という可能性を広げるよう、特許庁が高品質な特許審査のみならず特許情報を適時に提供するなど支援していきたい」と述べた。

ジェトロ・ソウル事務所知的財産チーム

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