知的財産ニュース 韓国特許庁の技術警察、意匠権の侵害犯罪の根絶のため啓発活動を展開

2023年10月19日
出所: 韓国特許庁

フェアなコンシューマーになりましょう!

韓国特許庁の技術デザイン特別司法警察(以下「技術警察」とする)は、意匠権の侵害犯罪に有効に対応するため10月18日火曜日から12月7日日曜日まで「デザインの創作活動に正当な対価を支払う『フェアなコンシューマー(Fair-conSumer)』になろう」という目的の「フェアシューマー」キャンペーンを展開します。

先月技術警察は、韓国国内外のブランド品の衣類や雑貨のデザインを模倣して制作した製品を「自社制作」だと販売した意匠権模倣の犯罪組織を対象に取り締まりを強化した。警察が犯罪の発生を認知し捜査に取り掛かったところ、ブログ上でインフルエンサー(累積訪問者数1,400万人)として活動し模倣品約2万点(真正品価格344億ウォン相当)を製造・販売した会社の代表者(34)を意匠権の侵害犯罪事件として初めて拘束した。

今回拘束された者は、これまでSNSを利用して多額を稼ぎ贅沢暮らしをアピールしてきたが、実は他人の創作物を無断で使い模倣品を販売して犯罪収益を取得していたことが明らかになり多くの人が怒りをあらわにした。このような意匠権の侵害に対する意識が欠けているケースが広がり、多くの創作者の創作意欲を低下させてきた。

特許庁の技術警察は2019年3月の発足以降、意匠や商標形態模倣の犯罪を起こした者745人を立件するなど意匠権の侵害犯罪の根絶に取り組んでいる。しかし、刑事罰が科されるにも犯罪収益から得られる利益が大きく模倣品と知りながらも購入する消費者がいるため、その製造・販売が後を絶たない。刑事罰や取り締まりだけで意匠権の侵害犯罪を根絶するには限界がある。

特許庁で行った不正競争行為や営業秘密の侵害行為の実態調査(2021年)によると、模倣品を購入する消費者の16.9%は「正しくない行為だと思っていない」と答え、38.8%は「正しくはないものの法律上問題ないと思う」と答えた。つまり、模倣品の購入者の半数以上(55.7%)が「購入する行為には問題がない」と思っている。

これを受けて技術警察は、知的財産としてのデザインの価値を周知させ模倣品購入に対する消費者の意識を変えるために今回の啓発活動を展開する。

今回の啓発活動は政府イノベーションの一環として文化体育観光部の「国民が参加する政策疎通」事業を通じて若者世代と特許庁の技術警察が協力する。啓発活動は、SNS上のPRや技術警察の「コピーキャッチャー(Copy-Catcher)※」キャラクターの制作、芸能人やユーチューバーとのPR映像の制作(予定)、産学研共同のデザイン侵害犯罪への対応に関する学術会議(10月30日)、模倣品の展示会(11月1日~4日)開催などが行われる。
※模倣品(Copy)をキャッチャー(Catcher)するスキルで技術警察の捜査をサポートする猫のキャラクター

特許庁長は「デザインは大切な知的財産としてその創作活動に正当な対価が支払われる価値がある。そのため公正な市場秩序を立てなければならない」とし、「意匠権の侵害犯罪を根絶するためには、技術警察の努力だけではなく消費者の意識も大事だと思う。『フェアなコンシューマーになる』ことを宣言します」と述べた。

ジェトロ・ソウル事務所知的財産チーム

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