知的財産ニュース 善意の商標先使用者を保護する改正不正競争防止法を施行する
2023年9月27日
出所: 韓国特許庁
先に使用していた商標、看板書き換えの心配なく安心して使用してください!
事例
イが商標登録をしていない状態でAという商標を使用して小規模衣類販売事業を始めたところ、偶然ロがそれと同一・類似の商標A’を使ってSNSやテレビ広告などの販促(マーケティング)を行い、短期間で認知度を得た。
ロはイを相手に不正競争行為を理由に警告状を送り、販売中止を求めた。イはA商標製品を引き続き販売できるだろうか?

韓国特許庁は、国内に広く知られている他人の商標(以下「有名商標」)と同一・類似の商標を不正な目的なしに先に使用した者が当該商標を引き続き使用できるようにする内容などを盛り込んだ改正「不正競争防止及び営業秘密保護に関する法律」※(以下「不正競争防止法」)が9月29日金曜日から施行されることを明らかにした。
※ホン・ジョンミン議員代表発議(2021年1月26日)、イ・ギュミン議員代表発議(2021年1月29日)、ハン・ムギョン議員代表発議(2021年3月16日)
善意の商標先使用者が当該商標を使用し続けられるよう不正競争防止法を改正する
改正不正競争防止法によると、他人の有名商標と同一・類似の商標を先に使用した者は、不正の目的がない限り、当該商標を使用し続けても不正競争行為に該当しない。
法改正以前は、商標を先に使用していたとしても、同一・類似の他人の商標が有名になった時点からは該当商標をそれ以上使用できなかった。そのため、先使用者は有名商標権者から警告状を受けるなど法的対応を強いられ、結局営業場の看板を書き換えたり、製品を廃棄したりするなどの困難があった。
ただし、「有名商標」と「先使用者の商標」が市場に併存することになれば、消費者は両商標が同一販売者の商品であると誤認混同するおそれがある。これを防止するため、改正法は、有名商標の保有者が先使用者に誤認混同の防止に必要な表示を請求できるようにした。
また、今回の先使用者保護規定は、自分の商標を他人が使用できないようにするなどの積極的な権利行使まで認めるものではない。自分が使用する商標を積極的な権利として認められるには、特許庁に他人より先に出願して商標登録を受けることが必須である。
アイデア奪取行為差止請求権の時効制度などその他改善事項を含める
また、9月29日金曜日からアイデア奪取行為に対する差止請求権の時効制度が施行される。これを受け、奪取したアイデアの無断使用に対する差止請求権の時効が行為を認知した日から3年、または不正競争行為が始まった日から10年と明確に規定される。
他にも、不正競争行為の行政調査で立入調査の対象を書類や帳簿・製品だけでなく、デジタルファイルなども含む「資料」に拡大する内容と、営業秘密の原本証明機関が国から受領した補助金を他の目的で使用した場合、その回収を義務付ける内容も施行される。
特許庁の産業財産保護政策課長は、「改正法の施行を受け、善意で商標を先に使用した者に対する保護が可能になり、アイデア奪取行為差止請求権の時効規定を導入するに伴ってアイデアの取引関係がより安定化かつ活性化すると期待される」とし、「特許庁は不正競争行為の主務官庁として健全な取引秩序の確立に寄与していきたい」と強調した。
ジェトロ・ソウル事務所知的財産チーム
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