知的財産ニュース 日韓特許庁長官会合の後続措置として両庁局長級会合を開催

2023年9月15日
出所: 韓国特許庁

日韓、特許法・制度で歩調を合わせる…初の実務協議体が発足

韓国特許庁は、9月15日(金曜日)に、日本国特許庁(東京)で日韓特許専門家による「日韓法制度部長級・実務者会合」に出席し、両国の特許法制度関連懸案事項と今後の協力事項について情報を共有したと発表した。

日韓初の特許法制度実務協議会の発足…AI発明者を巡る議論などについて情報共有

会合は、今年の5月、6年ぶりの再開となった「日韓特許庁長会合」の事後措置で、特に、日韓法制度分野の初の実務協議会の発足という点で意味がある。

会合では、AI発明者の法的地位、最近の日韓特許法令の改正動向、グリーン・トランスフォーメーション技術区分表(GXTI)の構築経験および活用方策、B+グループ(※)のプロジェクト推進など、様々な議論に対する深みのある情報共有が行われた。
※B+:WIPO・Bグループメンバー国(米国、日本など一部の先進国)、韓国、欧州特許庁(EPO)メンバー国など、計48か国・機関で構成されたグループ。2005年に各国の特許法調和に関する様々な議論を行うために創設され、韓国は2008年に加入した

両国は、AI発明者の認定可否、そして発明者として認定された場合、現状の特許法制度に必要な改正などについて情報を共有した。また、最近改正が行われた特許出願・特許権の回復要件の緩和(日韓)など、出願人に有利な特許制度および制度の改善に関する情報共有も行われた。

気候変動への対応に関する情報共有および特許制度の国際調和の推進で合意

今回の会合では、6月に米国で開催された五(※)庁長官会合の主要テーマ「包容的な知的財産システムによる気候変動への対応」に関する情報共有も行われた。
※IP5:韓国、日本、米国、欧州(EPO)、中国特許庁

日本は、「グリーン・トランスフォーメーション技術区分表(GXTI※)」を導入した経験を紹介し、韓国は現在完成段階にある「韓国型グリーン技術特許分類体系」と、この分類体系の対象となる特許出願に対する早期審査支援計画を発表した。
※Green Transformation Technologies Inventory:日本国特許庁が2022年6月に公表したもので、GX技術の分類および関連特許文献の検索式などの情報が含まれている

韓国は、環境部の「韓国型グリーン分類体系」と連携し、特許情報の効率的利用を図るという未来図を揚げた。

また、両国は、先進国グループ中心のB+会合で、海外に進出する両国企業と発明者を保護するため、日韓の主導のもとで公知例外主張(※)など、特許制度の実体的事項について国際調和を推進することに合意した。
※公知例外主張:出願前に公知されたとしても、一定の期間内(韓国・日本・米国:1年、欧州・中国:6か月)に出願した場合、公知などがされていない発明とみなし、特許拒絶理由から除外する制度。多様な方式により各国で運営されている

特許庁の特許審査企画局長は、「今回の実務協議体の発足は、これまで疎遠になっていた両国間の特許法制度に対する協力関係を再建するための重要な足場である」とし、「今回の会合を機に、韓国特許庁は、先進型特許システムの構築の先頭に立ち、韓国企業のグローバル活動支援を強化していく」と述べた。

ジェトロ・ソウル事務所知的財産チーム

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