知的財産ニュース 「韓国型証拠収集制度の導入に向けた国会討論会」を開催

2023年9月13日
出所: 韓国特許庁

韓国特許庁と国会、技術保護に向けた韓国型証拠収集制度の導入について議論へ

韓国特許庁と国会は(※)、特許侵害訴訟に韓国型証拠収集制度を導入するための国会討論会(以下「討論会」)を9月14日(木曜日)9時30分、国会議員会館(ソウル)で開催すると発表した。
※産業通商資源中小・ベンチャー企業委員会のキム・ジョンホ議員、企画財政委員会のイ・スジン議員、環境労働委員会のイ・ジュファン議員

特許は、世界的に広く活用されている代表的な技術保護手段である。グローバル企業は、毎年数多くの特許を出願(※)しており、そのうち、韓国は世界4位の特許出願大国である。しかし、韓国の技術保護水準(※※)の場合、出願規模に比べ、不十分だという評価が続いている。韓国の特許侵害訴訟は、一般の民事訴訟にかかる期間よりも長く、特許権者の勝訴率は10分の1にも及ばず、勝訴したとしても十分な損害賠償を受けることができないことが多いためである。
※全世界の国際特許(PCT)の出願件数: 253,000(2018年)→275,900(2020年)→278,100(2022年)
※※スイスIMD(国際経営開発研究所)による評価結果(2023年):特許出願第4位VS保護ランキング第28位

訴訟において、侵害者が持っている証拠を簡単に確保できる方法が不十分だという指摘は、特許がまともに保護されない主な理由としてあげられ続けてきた。これにより、特許庁と国会は、2020年から韓国の現状に適した「韓国型証拠収集制度」の導入を進めてきた。

「韓国型証拠収集制度」のキーポイントのうち、一つ目は裁判所から指定を受けた専門家が侵害場所で資料調査を行い、それをまとめた結果報告書を証拠として活用する専門家事実調査、二つ目は法廷外の場所で当事者間で録取を行い、その録取記録を証拠として活用する当事者間証言録取、そして三つ目は訴訟初期段階において、裁判所が当事者に証拠の滅失と毀損防止を命令する資料保全命令の導入である。

これまで、特許庁と国会は60社あまりの企業、20あまりの協会・団体と80回ほどコミュニケーションを行い、関係部署および裁判所との協議を継続的に実施するなど、制度導入の必要性と制度詳細の必要性に対して大枠合意を実現してきた。

今回の討論会は、各界各層からその他の争点について意見を募集し、各々の争点に対する最適の解決策を導くために設けられた。その他の争点は2つあり、第1は専門家が現場で証拠を集める時に起こりうる技術流出問題を最小にするための安全装置で、第2は弁護士・弁理士などが依頼企業に作成した書面を専門家の現場調査の範囲から除外する基準である。

討論会は、(株)TILONの代表が経験した特許訴訟事例から始まり、侵害者が裁判所で偽りの証拠を提出し、被害者(特許権者)が相手方の証拠を偽造証拠だと証明する際に経験した厳しさなど、現行の証拠収集制度の限界と改善策について発題する予定である。

次には、LEE&KO法律事務所の弁護士が「専門家の事実調査」で営業秘密流出問題を最小にする方策と弁護士・弁理士などが依頼企業に作成した書面などを専門家の事実調査の範囲から除外する方策について、数十年の実務経験をもとに意見を述べる予定である。

その後、延世大学の法学専門大学院教授を座長に、財団法人傾聴の弁護士、韓国半導体産業協会の専務、特許庁の産業財産保護政策課長が、発題者らと制度導入に係るその他の争点と具体的な解決策について討論する予定である。

特許庁長は、「この場は、韓国の産業に実質的に役に立つ最適の方策を導くために設けられたものである」とし、「特許庁は、これからも知的財産を所管する部署として、各界各層から意見を収集し、韓国型証拠収集制度が定着できるよう最善を尽くす」と述べた。

一方、この日行われた討論会は、特許庁の公式ユーチューブチャンネル外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますから生中継でお送りする。

ジェトロ・ソウル事務所知的財産チーム

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