知的財産ニュース リフォーム製品、商標権侵害に注意してください
2023年8月16日
出所: 韓国特許庁
リフォーム・アップサイクル製品、商標権侵害のおそれあり
- Aさんは、古いブランドバッグをクリーニング・分解し、個性的なデザインに作り変えてオープンマーケットで販売した。質の高いリフォーム製品を安価で手に入れてとても満足しているという顧客の反応に嬉しさを感じたのも一瞬。最近、商標権者より販売の中止を求める内容証明が届き、対応方法を調べている。
- Bさんは、SNSで有名商標のロゴの形をしたビンテージアクセサリーを安価で購入した。ところが、友達から購入した製品が正規品ではなくアップサイクル製品であることを聞いた。Bさんは返金を求めようとしたが、販売者のアカウントが閉鎖されてしまい、何もできなくなってしまった。Bさんは、結局、その模倣品販売者を通報することになった。
韓国特許庁は8月13日、他人の商標が表示されている製品をリフォームまたはアップサイクルして販売・流通する場合、商標権侵害または不正競争行為に該当するおそれがあるため注意が必要であると発表した。
最近、「ナイキのリユーザブルマイバッグ」をクロスボディバッグやリュックサック、財布、ポーチなどの多様な形にリフォーム(※)・アップサイクル(※※)した製品がオンラインで販売され、人気を集めている。
※服やバッグなどのデザイン、色を変えて新しい形にすること
※※捨てられた製品にデザインを加え、新たな価値のある製品に再生産すること
しかし、リフォームした製品がナイキの商標権を侵害するのではないかという疑問が提起され、論争になった。「正規品の形を変えただけなので中古品を販売することと同じだし、リフォーム製品であることを知らせて販売しているため問題にならないと思う」との意見がある一方、「ナイキの同意を得ずに商標を使用し、収益を取ることなので、商標権の侵害に当たる」との意見が対立している。
リフォーム・アップサイクル製品は、数年前から環境に優しい消費文化の一環として人々から注目を浴びている。古びたブランドバッグや衣類を完全に新しいデザインにするか、有名商標のロゴの形をした装飾品をイヤリングやネックレスなどに作り変えた製品を購入するのである。このような購入を通じて個性を表すことができ、環境保護はもちろん過剰な消費の抑制にも役立つという趣旨がある。
ところが、オンラインで販売されている多数のリフォーム・アップサイクル製品は、商標権者の同意を得ずに本来の製品を全く違う外観に変え、商標・ロゴは元のものをそのまま表示する方式に製作されている。これは、本来の製品の品質と形状を維持・補修するためにその一部を単に加工したりリフォームしたりするレベルとは言えない。
韓国最高裁判所の判例(※)によると、このように本来の製品との同一性を害するほどの加工やリフォームをする場合は、実質的に生産行為をするのと変わらないため、商標権侵害(商標法第108条第1項第1号)に該当する。
※韓国最高裁判所2003年4月11日言渡2002ド3445判決
リフォームを経た製品の外観が本来の商品と極めて類似していても、同一性が認められにくい場合もある。リフォーム製品に使われた生地、部品、製造技術などが本来の商品のそれと同一でないため、リフォーム行為により商標の品質保証機能が害されたとみなす可能性があるからである。
たとえ、商標権者がリフォーム製品の販売を問題視しなくても、商標権侵害は非親告罪であるため、被害を受けた購入者が販売者を通報して商標法の違反が認められれば、販売者は処罰を受けることになる。
また、最初に購入した者は、その製品がリフォーム製品であることを知って購入したとしても、リフォーム製品が中古品として販売される際に、それを正規品として誤認混同して購入する被害者が発生する可能性があるため、注意が求められる。
特に、韓国内に広く知られている他人の商標・ロゴと同一・類似しているものを使用した製品を販売し、他人の商品と混同を生じさせる行為は、不正競争行為(不正競争防止法第2条第1号イ目)に該当することがある。
特許庁の商標特別司法警察課長は、「環境を考えるという良い趣旨の消費文化の普及が、商標権侵害や知財権紛争の導火線になりかねない」と懸念を示し、「個人がリフォーム・アップサイクル製品を作って使用することは問題とならないが、それを販売・流通、譲渡することは商標法違反に該当し得るので注意する必要がある」と述べた。
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