知的財産ニュース 韓国特許庁長、第64次WIPO総会に参加

2023年7月10日
出所: 韓国特許庁

イノベーションフレンドリーな知的財産環境づくりへの取り組みを呼びかける

韓国特許庁長は、7月5日から7日(現地時間)まで、スイスのジュネーブで第64次WIPO(世界知的所有権機関)(※)加盟国の総会に出席して代表演説を行い、イノベーションフレンドリーな知的財産環境づくりへの取り組みを呼びかけた。また、WIPOの事務総長、事務次長、事務次長補との会談に続いて12の特許庁(※※)と会談し、3件の協力了解覚書・提携を締結することで中東・オセアニア・欧州にまで協力範囲を広げた。
※WIPO:World Intellectual Property Organization
※※インド、シンガポール、インドネシア、カナダ、ドイツ、サウジアラビア、スウェーデン、デンマーク、オーストラリア、キルギスタン、フランスの特許庁および欧州連合知的財産庁(EUIPO)

WIPO総会での代表演説

特許庁長は、7月6日、WIPO総会での代表演説を通じて、経済危機を乗り越える原動力として知的財産とイノベーションの重要性を強調し、国際社会がイノベーションフレンドリーな雰囲気を盛り上げるために取り組むことを呼びかけた。イノベーションフレンドリーな知的財産環境づくりに向けた韓国の取り組みを紹介し、知的財産サービスのユーザーを最優先に考えるため、WIPO外部事務所の設置に対する議論を推進する必要があることを強調した。また、韓国による知的財産の活用と保護努力を紹介し、WIPOの193の加盟国のうち2番目に多い韓国信託基金を通じて、途上国と先進国間の知的財産格差を解消するために取り組むことを明らかにした。

12の特許庁と会談、3か国とMOU(業務協力協定)の成果

特許庁長は、3日間の短い日程の間、12の特許庁と二者会談を行い、知的財産分野での協力案について議論した。特に、オーストラリア、サウジアラビア、スウェーデンと協力了解覚書を締結する一方、インドネシアとはPPH(特許審査ハイウェイ)※と包括的協力MOUを締結することで合意した。
※特許審査ハイウェイ(PPH, Patent Prosecution Highway):同一の発明を2か国以上の特許庁に出願し、1つの国から特許が可能であるとの結果を受けた場合、それを他の国に提出して優先審査を申請する制度(2023年6月基準、韓国特許庁は37の知的財産機構とPPHを施行中)

  1. オーストラリア特許庁とは、包括的協力MOUを締結し、知的財産保護・人工知能などの新技術関連情報の共有や人材育成など、両庁間の協力範囲を多様な分野に拡大した。
  2. サウジアラビアとは、「韓国・サウジアラビア知的財産庁間の知的財産教育制作物の協力に向けた約定」を締結した。韓国とWIPOが共同で生徒発明教育教材のアラビア語版を制作し、2021年からサウジアラビアで正規教育課程になった生徒発明教育の授業に教材として使われる予定である。
  3. スウェーデンとは、韓国特許技術振興院(KIPRO)などがスウェーデン知的財産庁を通じて現地出願人や研究者などに「アジア特許情報サービス」を提供するMOUを締結し、韓国の審査関連能力に対する国際的信頼度を確認することができた。

インドネシアとは、今年の下半期にPPHと包括的協力MOUを締結することで合意した。これを受け、インドネシア市場に進出する韓国企業は、より速やかに特許登録が受けられるようになり、知的財産行政、情報化、教育、知的財産保護など、多様な分野で協力が強化される見通しである。

特許庁長は、「今回の総会で韓国が知的財産分野のグローバル中枢国であることを改めて確認することができた」とし、「このような地位にふさわしく、韓国の先進知的財産インフラをさらに活発に広める一方、海外に進出している韓国企業がより迅速に権利を確保できるよう、積極的に国際協力を推進していきたい」と述べた。

ジェトロ・ソウル事務所知的財産チーム

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