知的財産ニュース 韓国・メキシコのPCT審査が早まる
2023年7月10日
出所: 韓国特許庁
メキシコの特許審査、PCT国際調査の活用で4年→10.6か月へ短縮
今後、メキシコ現地で韓国企業の特許取得期間が早まる見通しである。韓国企業が一般の手続きでメキシコに特許出願する際に平均4年※以上かかっていた特許取得期間が10.6か月※※まで短縮するものと期待される。
※一般の手続きでメキシコに出願されたすべての国の特許の平均審査期間(2023年度IP Coster統計)
※※PCT-PPHによりメキシコに出願されたすべての国の特許の平均審査期間(2022年度日本特許庁PPH Portal統計)
韓国特許庁は、韓国企業の海外進出を支援するため、メキシコとPCT※-PPH※※(国際特許出願-特許審査ハイウェイ)※※※協約を締結し、PPH協約の効力を無期限延長することにし(2023年6月)、今月から施行していると発表した。
※PCT(Patent Cooperation Treaty):特許協力条約の加盟国間、1つのPCT願書で多数の国に同時に出願できる制度
※※PPH(Patent Prosecution Highway):同一の発明を2か国以上の特許庁に出願し、1つの国から特許が可能であるとの結果を受けた場合、それを他の国に提出して優先審査を申請する制度
※※※PCT-PPH:PCT国際調査機関などから肯定的な審査結果を受けた場合、それを基に他の国で優先審査を申請する制度
PCT-PPH協約の締結
今回の協約締結により、韓国企業は韓国特許庁のPCT国際調査※の審査結果※※を活用してPPHを申請すれば、メキシコでより速やかに審査を受けられるようになる。メキシコで登録まで平均4年かかっていた特許取得期間を平均10.6か月に短縮できる見通しである。
※PCT国際調査:出願人が特定の国を選定し、自らの発明が特許を取得できるか否かを事前に判断してもらう手続きで、結果を参考に、それぞれの国に出願するか否かを決める
※※国際調査機関の見解書など
PPH協約に対する効力の無期限延長
特許庁は、2012年7月1日からメキシコとPPH協力を開始し、3回にわたって延長した。従来はPPHの施行期間を指定していたが、今回の第4次延長協約では、期間を無期限に延長した。これを受け、韓国企業は今後いつでもPPHを活用できるようになった。韓国企業はメキシコで最近5年間年平均260件の特許を出願し、20%増加の傾向を示している。中南米では、ブラジルに次いで2番目に多く、世界的には16位である。メキシコで韓国企業の知的財産権保護と活用の重要性が増している状況である。
韓国企業のメキシコに対する特許出願件数の現況
類型:韓国→メキシコ、(特許出願件数)
2017 | 2018 | 2019 | 2020 | 2021 |
---|---|---|---|---|
245 | 218 | 306 | 234 | 294 |
(出所:WIPO(世界知的所有権機関)統計データベース)
特許庁の特許審査企画局長は、「メキシコとの特許審査協力強化により、メキシコ市場に進出している韓国企業の画期的なアイデアがより迅速かつ効果的に特許で保護される基盤を整えた」とし、「特許庁は他の国とも審査協力を強化することで、韓国企業の海外での競争力を高められるよう国外での知的財産権確保に向けた支援を拡大していきたい」と述べた。
ジェトロ・ソウル事務所知的財産チーム
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