知的財産ニュース 第16次IP5会合、米国ハワイで開催

2023年6月16日
出所: 韓国特許庁

IP5、気候変動への対応に向けて力を合わせる

韓国をはじめとする欧州、日本、中国、米国の特許庁でつくる特許先進5庁(IP5)の庁長は、6月14日と15日(現地時間)、米国ハワイで産業界の代表(※)とのジョイントミーティングと庁長会談を開催し、気候変動などに効果的に対応するための知的財産の役割と今後の協力方向性について話し合った。
※韓国知識財産協会(KINPA)、米国知的財産権者協会(IPO)、米国知的財産権法協会(AIPLA)、日本知的財産協会(JIPA)、中国専利保護協会(PPAC)、ビジネスヨーロッパ(BE)

特許先進5庁(IP5):世界中の特許出願の約85%を占める知的財産分野5か国のグループである。韓国特許庁は、世界第4位に当たる規模の特許申請を担当する先進知的財産機関として、欧州、日本、中国および米国の特許庁と共に2007年度に特許先進5庁連合(IP5)を設立し、「ユーザーフレンドリーなグローバル知的財産エコシステムづくり」をリードしている。

昨年IP5は、初めて人類共同の挑戦課題である国連持続可能な発展目標(※)の実現に向けた知的財産の役割と今後の協力方向性について議論したが、今年は、「気候変動への対応に向けた知的財産の役割」をIP5の戦略的テーマとすることで、持続可能な発展目標の実現に向けた具体的な方策に関する議論を本格的に始めた。
※人間、地球、繁栄、平和、パートナーシップという5つの領域で持続可能な発展の理念を実現するための17の目標と169の細部目標(2015年第70次国連総会で決議)

気候変動への対応に向けた協力方向性の議論

IP5の庁長は、産業界の代表とのジョイントミーティングと庁長会合を通じて気候変動に対応するための各庁の取り組みを紹介し、今後の協力案について意見を交わした。特に、韓国特許庁長は、「韓国型カーボンニュートラルにおける100大コア技術の選定」など韓国政府のカーボンニュートラルに向けた最近の取り組みを紹介し、グリーン技術分野発明の速やかな権利化を支援するための優先審査制度や円滑な事業化に向けた知的財産金融事業など、知的財産分野の関連政策を説明した。また、今後グリーン技術分野の特許データを体系的に整理・蓄積するための韓国型グリーン技術特許分類(KPC:Korean Patent Classification)体系を構築することで先行技術検索の正確性と効率性を高め、特許出願の動向を効果的に把握するという青写真も発表し、IP5加盟国と産業界から共感と支持を得た。

人工知能発明家の認否など、その他の議論

今回の会合では、韓国が提案した新規課題である「人工知能が介入した発明に対し、当該人工知能を発明家として認めるか否かの研究(Inventorship of AI generated inventions)」が最終承認された。これを通じて、IP5の「先端技術/人工知能ロードマップ(NET/AI Roadmap)の樹立」を主導したことがある韓国が先端技術に関連する議論を継続してリードできるきっかけができた。また、IP5は、これまで審査協力および制度調和に焦点が当てられていたビジョン宣言文(Vision Statement)に「持続可能な発展の実現」を明示することに合意した。これにより、IP5が気候変動など人類共同の問題を解決するために知的財産分野でさまざまな協力ができる根拠が設けられた。同時に、知的財産サービスの主なユーザーである産業界との体系的なコミュニケーション方法も議論され、今後、グローバル知的財産制度の発展に向けた官民協力が一層円滑に行われると期待される。

特許庁長は、「クリエイティブなアイデアを有する企業の成長を通じてイノベーションがイノベーションにつながる経済発展の好循環体系が実現するには、イノベーションの産物である特許出願の85%を担うIP5間の緊密な協力が欠かせない」とし、「2024年に韓国で開催される第17次IP5特許庁長会合の準備に万全を期することで、韓国企業にやさしいグローバル知的財産環境を整える一方、知的財産先導国としての地位をさらに高めたい」と述べた。

ジェトロ・ソウル事務所知的財産チーム

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