知的財産ニュース 幹細胞関連技術に関する特許出願、韓国の成長率2位

2023年6月5日
出所: 韓国特許庁

米国主導の中、中国と韓国が猛追、競争環境に地殻変動
韓国の年平均増加率は10.7%で中国に次いで2位、米・日は伸び悩んでいる

  • どのような細胞にでも分化できる能力を持つ幹細胞関連技術に対して各国の関心が続いている。幹細胞の高い活用性と効果が現代治療技術を一段階高めるものと期待するためである。幹細胞分野の世界市場規模は、年平均9.74%ずつ成長し、2030年には約316億ドルに至るものと予測(※)される。
    ※「Stem Cells Market Size」、GrandviewResearch, 2022.10.
  • 韓国政府も幹細胞を分化して輸血用人工血液を作ることを目指して「細胞基盤人工血液技術開発事業団」を構成し、一次的に今年から5年間、471億ウォンを支援するなど(※)、幹細胞関連技術の確保のために積極的に取り組んでいる。
    ※2022年3月14日付保健福祉部プレスリリース

幹細胞(※)関連技術の開発のための各国の努力が続いている中、韓国の年平均増加率は2位を記録し、着実に成長していることが明らかになった。
※高い増殖能と自己複製能を有し、人体のすべての組織や器官へと分化可能な未分化細胞

韓国特許庁が主要国特許庁(ID5:韓国、米国、中国、欧州、日本)に出願されている特許を分析した結果、最近10年(2011年→2020年)間で幹細胞分野の出願量は年平均4.6%ずつ伸び、2020年の特許出願量は2011年対比約50%増加(826件→1,241件)した。

国籍別特許出願の動向

出願人の国籍を見ると、最近10年間(2011年~2020年)、米国(1位)が38.5%(4,221件)で最も多く出願しており、中国(2位)15.0%(1,639件)と韓国(3位)12.7%(1,394件)、日本(4位)11.4%(1,246件)がその後に続いた。

同期の年平均増加率は、中国(32.6%)が最も高く、韓国は10.7%で二番目に高い成長を示した。米国は0.7%で伸び悩んでおり、日本は-2.3%でむしろ減少する傾向を示した。

特に韓国は2019年を基点に出願量が1.5倍増加(2018年141件→2019年205件)した。幹細胞治療剤の常用化の支援のために2019年先端再生バイオ法を制定したことが出願増加の一因とみられる。

主要な出願人

主要な出願人としては、ANTHROGENESIS(1位、米国)とカリフォルニア大学(1位、米国)がそれぞれ1.7%(188件)で最も多く出願しており、次いでヤンセン(3位、ベルギー)1.7%(182件)、ハーバード大学(4位、米国)1.4%(148件)、富士フィルム(5位、日本)1.3%(138件)順である。米国企業および大学がこの分野の研究を主導していると分析される。

韓国出願人としては、ソウル大学(12位、0.9%、94件)、サムスン(17位、0.7%、72件)、CHA医科大学校(21位、0.6%、64件)、カトリック大学(22位、0.6%、63件)、高麗大学およびbBHC(両方とも29位、0.5%、50件)などが30位内の多出願人に名を連ねている。

出願人の類型

この分野の出願は企業が53%で多数を占めているが、大学(29.8%)と公共(10.3%)の比率も高く、特に韓国の場合は、企業(43.8%)と大学(43.5%)がほぼ同じ出願量を示していることが分かった。

韓国特許庁のバイオヘルス新課長は、「無限の潜在能力を持っている幹細胞関連技術の発展の可能性も、また無限であるといえるだろう。ますます競争が激しくなっている幹細胞関連分野で韓国企業と研究所が特許競争力を確保し、市場を先取りできるよう、韓国特許庁も質の高い特許審査と情報の提供のために努力する」と述べた。

一方、幹細胞分野に関する特許分析資料は、特許ビッグデータセンター外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますから誰でも申請してダウンロードできる。

ジェトロ・ソウル事務所知的財産チーム

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