知的財産ニュース デジタルツイン、米中争いの中で韓国が猛追中
2023年5月15日
出所: 韓国特許庁
最近5年間デジタルツイン分野の出願伸び率、韓国が42.8%と1位
実世界を模して仮想世界に作った双子すなわちデジタルツインへの関心が高まっている。デジタルツインを通じて現実の問題を分析・予測して再び実世界に反映することで、製造業分野の生産性を一層上げてくれるものと期待しているからである。この分野のグローバル市場規模は年平均37.5%ずつ成長し、2030年には約1,558億ドルに上ると予測(※)される。
※「Digital Twin Market Size」、GrandviewResearch、2022.12.
韓国特許庁は、デジタルツイン(※)分野への特許出願が大幅に伸びている中、最近5年間韓国の年平均出願伸び率が42.8%と1位に上ったことを発表した。
※現実世界の機械や装置、物などをコンピューターの中の仮想世界に実現させたもの
主要国特許庁(IP5:韓国、米国、中国、EU、日本)に出願されている特許を分析した結果、最近10年間でデジタルツイン分野の出願量が年平均16.7%ずつ伸び、4倍(2011年116件→2020年466件)に跳ね上がった。特に、最近5年間(2016年→2020年)の年平均成長率は24.5%に達し、この分野の技術開発が加速していることがわかった。
国籍別特許出願の動向
出願人の国籍を見ると、最近10年間(2011年→2020年)米国(1位)が29.9%(700件)で最も多く出願しており、中国(2位)21.7%(508件)と日本(3位)18.0%(422件)、韓国(4位)10.4%(245件)がその後に続いた。年平均成長率は、中国(37.8%)、韓国(19.3%)、日本(11.2%)、米国(6.5%)の順である。しかし、最近5年間(2016年→2020年)の年平均成長率は韓国(42.8%)、中国(30.0%)、米国(23.9%)、日本(14.1%)の順で、韓国が最も急速に成長している国であることがわかった。
主要な出願人
主要な出願人としては、1位のSTRONG FORCE(8.7%、203件)、2位のSIEMENS(6.6%、155件)、3位の三菱グループ(3.0%、71件)がある。IT強国の米国と製造業強国のドイツ・日本が主導していると分析される。韓国出願人としては、POSCO(0.9%、22件)が12位を獲得し、サムスン(0.4%、9件)と電子技術研究院(0.3%、6件)が50位内に名を連ねている。
出願人の類型
この分野の出願は企業が主導(85.7%)していることがわかり、大学(7.2%)、公共(3.7%)、個人(3.4%)の順である。韓国の場合、企業の出願は64.5%とやや低いが、大学(13.1%)、公共(11.4%)および個人(11.0%)の出願がいずれも高く、多様な出願人により幅広く出願されていることが明らかになった。
特許庁のスマート製造審査チーム長は、「デジタルトランスフォーメーションに先行的に対応し、未来に向けた製造業の競争力を確保するため、韓国企業はデジタルツイン関連技術の開発と新しいサービスの導入に積極的に乗り出さなければならない」とし、「特許庁もデジタルツイン分野の特許競争力を強化するために、高品質の特許審査とさまざまな特許情報を持続的に提供していきたい」と述べた。
一方、デジタルツイン分野に関する特許分析資料は、特許ビッグデータセンターから誰でも申請してダウンロードすることができる。
ジェトロ・ソウル事務所知的財産チーム
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