知的財産ニュース IP5のカメラ・ライダーセンサー融合特許出願、年平均33.6%増加

2023年5月4日
出所: 韓国特許庁

自動運転車センサー融合技術の特許出願、韓国企業の存在感が目立つ

国土交通部・ソウル市・現代自動車は、2022年6月、代表的な混雑区間であるソウルの江南で、運転者の介入なしに運行するレベル4の自動運転ロボライドを試験運行(※)し、これを段階的に拡大して2027年にはレベル4の完全自動運転を実用化するという計画を発表した。
※国土交通部プレスリリース2022年6月8日付け

欧州連合は、2022年7月、乗客と歩行者の安全に向けて「先進運転支援システム(以下『ADAS』)」(※)の搭載を義務付ける「自動車一般安全規定」を施行した。この規定は、2024年7月からすべての欧州新車に適用される。これに伴い、ADAS機能の実装に欠かせないカメラやライダー等物体認識関連技術の成長と競争が加速化すると予想される。
※カメラ、レーダー、ライダー等のセンサー装置で運行状況を認識して運転者に危険状況などを知らせ、速度調節などの一部の運転機能を自動化した技術
自動運転車技術が完全自動運転のレベル4を見込んでいる時期に、完全自動運転を実現するためのセンサー融合分野(※)の特許出願で韓国が世界2位を獲得した。
※自動運転車で複数のセンサーを用いて取得した情報を融合して認知すること

韓国特許庁が主要国特許庁(IP5)(※)に出願された特許を分析した結果、自動運転車のカメラ・ライダー(※※)センサー融合技術の特許出願がこの5年間(2016~2020)年平均33.6%の伸び率を示し、大幅に増加したことがわかった。
※IP5:特許分野先進5か国(日米欧中韓)の特許庁
※※ライダー:レーザーを発射し、その光が周囲の物体に反射して戻ってくるのを受けて物体までの距離などを測定することにより周辺の様子を精密に描き出す装置

カメラ・ライダーセンサー融合技術:ライダーは、3次元空間での正確な距離情報を提供できるが、カメラのように正確な色や形態情報は提供できない。互いを補完する長所と短所を持つカメラとライダーの情報を融合することで自動運転の信頼性を高める技術として、レベル4以上の完全自動運転車で使用される。

国籍別特許出願の動向

出願人の国籍を見ると、米国が42.3%(338件)と最も高い割合を占めており、韓国は16.1%(129件)と2位に上った。次いで中国14.4%(115件)、イスラエル10.9%(87件)、日本7.6%(61件)の順となっている。出願人国籍別の年平均伸び率は韓国40.8%、中国38.8%、米国30.9%の順で、韓国の出願伸び率が最も大きいことが判明した。

主要な多出願人

主要な出願人を見ると、イスラエル企業のMobileye(1位)が9.0%(72件)と最も多くの出願をしており、次いでWaymo(2位)8.5%(68件)、Nuro(3位)7.8%(62件)、百度(4位)6.5%(52件)、現代自動車(5位)6.3%(50件)の順である。韓国の出願人としては、現代自動車(5位)とLG(7位)2.0%(16件)がトップ10入りしており、サムスン(17位)1.4%(11件)とMando(20位)1.1%(9件)も頭角を現している。

出願人の類型

出願人の類型を見ると、この分野の出願のほとんど(95.0%)は企業が行っていることから、カメラ・ライダーセンサー融合技術を先取りしようとしている企業間の競争が激しいものと見られる。その分、カメラ・ライダーセンサー融合技術が急速に発展し、近いうちに実現する完全自動運転と共に私たちの生活を一変させるものと期待される。

特許庁の自動運転審査課長は、「レベル4以上の自動運転に向けたセンサー融合分野は、一層発展し、競争が激しくなるものと見られる」とし、「これからも迅速かつ正確な審査サービスを提供することで、関連技術の開発を積極的に後押ししていきたい」と述べた。

ジェトロ・ソウル事務所知的財産チーム

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