知的財産ニュース 韓国特許庁、輸出企業向け「特許紛争リスク警報システム」を公開

2023年3月28日
出所: 韓国特許庁

海外特許紛争リスク、事前に確認しましょう!

  • 輸出企業の特許紛争レーダー、「特許紛争リスク警報システム」をオープン
  • デジタル情報通信や半導体等14分野、特許紛争リスク高い
  • 特許紛争ハイリスク特許リストや特許紛争対応要領等も提供

韓国の輸出企業に莫大な訴訟費用と輸出中断などの被害を与える海外特許紛争のリスクを「特許紛争リスク警報システム」を通じて技術分野別に一目で把握し、備えられるようになる。

韓国特許庁は、輸出企業の特許紛争を予防するため、「特許紛争リスク警報システム」外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを3月28日火曜日に公開すると発表した。「特許紛争リスク警報システム」は、技術分野全体を37に分け、技術分野別に米国市場での特許紛争リスクの水準を「非常に高い」、「高い」、「普通」、「低い」の4段階で教えてくれる。

「特許紛争リスク警報システム」によると、米国では、デジタル情報通信、有線・無線通信、コンピューター、半導体、医薬、バイオ等14の技術分野で特許紛争リスクの水準が高いことがわかった(2022年基準)。特許紛争リスクが「非常に高い」技術分野は、デジタル情報通信、経営・金融・商取引のITシステム、オーディオ・映像、有線・無線通信、コンピューターの5つとされている。また、特許紛争リスクが「高い」技術分野は、半導体、通信モジュール・回路、医薬、制御技術、有機精密化学、電気機器、医療技術、生命工学、熱処理工程・装置分野となっている。

特許紛争を予防し、備えようとする企業は、「特許紛争リスク警報システム」から提供する各種情報や支援事業が利用できる。「紛争リスク特許情報」では、米国特許のうち約1万件の特許紛争リスク特許(米国特許約350万件のうち約0.3%)(※)を技術分野別に抽出して提供する。「企業紛争リスク診断」では、技術分野別に米国で特許紛争を多発させる海外企業(技術分野別に30社)のリストも提供する。企業は、自社が含まれている業種が特許紛争ハイリスクの場合、紛争リスクレベル別対応要領を参考にして前もって備えることができる。また、弁理士等国内外の専門家の助けが必要であれば、特許庁が韓国知識財産保護院を通じて提供する特許紛争対応支援事業(※※)を利用することもできる。
※紛争履歴、被引用数、NPE保有の有無などを紛争リスク分析アルゴリズムで抽出
※※紛争リスク早期診断:特許紛争リスクの深層診断および紛争予防教育・実習の提供
特許紛争対応戦略:特許侵害分析、特許紛争事前対応戦略などの支援

今年2月に企業向け披露会に参加した通信分野のA社は、「技術分野別の紛争リスク警報や紛争リスク特許・企業情報の提供は、海外の有料専門サイトでも見たことがない」と期待感を示した。オーディオ・映像分野のB社と医薬分野のC社は、「特許人材が足りない中小・中堅企業にとって特許紛争のリスクを事前に把握し、備えられる効果が非常に大きいものと予想される」と語った。

特許庁の産業財産保護協力局長は、「特許紛争リスク警報システムは、韓国企業が輸出の過程で特許紛争という暗礁に乗り上げることなく海外市場を開拓・拡大する上で大きく役立つだろう」とし、「これからも特許紛争のリスクが高い輸出企業から意見を収集し、特許紛争リスク警報システムを持続的に高度化していきたい」と述べた。

一方、特許紛争リスク特許および技術分野別特許紛争多発海外企業のリストなど一部のサービスは、会員登録後に利用できる。

ジェトロ・ソウル事務所知的財産チーム

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