知的財産ニュース 韓国特許庁、特許基盤研究開発戦略支援事業を公告

2023年2月27日
出所: 韓国特許庁

2023年特許基盤研究開発戦略の支援に計360億ウォンを投入

  • 半導体生産に活用されるコア装置の一つである原子層堆積(ALD)装置の場合、その大半を輸入に頼ってきた。A社は、特許庁の特許基盤研究開発戦略支援事業に参加し、コア部品の設計アイデアを得るとともに、研究開発の方向性と紛争予防戦略を支援された結果、外国産に頼っていた原子層堆積(ALD)装置の国産化に成功することができた。
  • レアアース磁石は、電気自動車のモーターや軍装備などに使われるコア戦略品目であるが、中国が90%以上を独り占めしていた。B社は、競争力のある磁石を生産するため、割れ現象の克服など、低い生産性を解決しなければならなかった。そのため、特許庁の特許基盤研究開発戦略支援事業に参加し、研究開発期間を2年程度短縮し、優秀特許4件を確保することができた。

韓国特許庁は、中小・中堅企業、大学・公共研究機関に特許基盤の研究開発戦略策定を支援する「2023年上半期特許基盤研究開発戦略支援事業」の公告を3月16日木曜日まで実施すると発表した。

特許基盤研究開発:研究開発の初期段階で世界中の特許情報を分析し、1.企業の直面課題を解決できる最適の研究開発の方向性を設定、2.コア特許への対応、3.特許技術の空白エリアに対する優秀特許の先取りなどを追求する特許基盤の研究開発方法

今回の上半期の公募では、100個前後の課題を選定する予定であり、課題1個当たりに最大960万ウォン以内でオーダーメイド型特許戦略を提供する。支援対象は研究組織を有する中小・中堅企業と大学・公共研究機関であり、技術分野に関係なく申し込める。特に、今年から国家戦略技術および国家コア技術関連課題に対する優遇加点を新設して半導体や二次電池など韓国の主力産業の育成を支援する。また、中小企業オーダーメイド型類型の課題数を大幅に増やして(※)中小企業への支援を強化し、高付加価値創出型(※※)への支援も拡大する。
※中小企業オーダーメイド型:2022年24個→2023年40個
※※高付加価値創出型(価値評価連携型、知的財産許可戦略連携型、新製品連携型):2022年14個→2023年18個

特許基盤研究開発戦略支援事業は、これまで高品質の特許創出と雇用創出などで優秀な成果を上げてきた。過去5年間(2017~2021)戦略支援を受けた中小企業の研究開発課題は、未支援中小企業に比べて優秀特許(※)の割合が2.6倍、米国・日本・欧州の特許庁に同時に出願された特許(※※)の割合が1.4倍に上るなど、創出された特許の質的水準が高かった。同じ期間に戦略支援を受けた大学・公共研究機関の研究開発課題は、未支援に比べて特許移転率1.2倍、技術移転契約1件当たりの技術料も3.7倍と、産業界での活用価値が高い特許を創出したことがわかった。2019年から支援してきた研究開発政府機関間協力の素材・部品・装置課題759個(2019~2021)は、計1,175件の特許創出、投入された支援金(589億6,000万ウォン)に比べて14.4倍(8,493億9,000万ウォン)の経済的成果(※※※)、1,738人の雇用創出効果をもたらした。
※特許分析評価システム(SMART3)の9等級評価結果のうち上位3等級の特許
※※韓国内に特許登録されたものと同一の発明を日本・米国・欧州の特許庁に同時出願したもの
※※※輸入代替7,924億ウォン、研究開発費用削減141億8,000万ウォン、特許紛争予防428億1,000万ウォン

一方、事業の公告は特許庁ウェブサイト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますおよび知的財産統合支援ポータルサイト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますで確認することができ、3月16日木曜日までに知的財産統合支援ポータルサイトでオンライン申し込みをすればよい。

特許庁の産業財産政策局長は、「米中技術覇権争いからわかるように、世界は今、先端技術を戦略資産として活用している」とし、「韓国企業も国家戦略技術やカーボンニュートラルなど多様な分野のコア技術を確保できるよう、特許基盤研究開発を積極的に支援していきたい」と述べた。

ジェトロ・ソウル事務所知的財産チーム

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