知的財産ニュース 「知的財産価値評価普及戦略専門家協議体」が発足する

2023年2月24日
出所: 韓国特許庁

韓国特許庁、迅速かつ正確な価値評価システムを構築

  • 無線通信機器企業のM社は、信用力が低い(B+)ため研究開発(R&D)資金の調達が困難であったが、保有した特許に対する価値評価(41.5憶ウォン)を経て、特許を担保にして銀行から20億ウォンを貸し出すことができた。
  • 空間データサービス企業のW社は、駅舎情報案内システムに係る他社の特許を買収しようとしたが、取引を目的とした特許価値評価を受けることが困難であったため、適切な買収価格が設定できず、結局両社の意見の相違により契約は取り消された。

韓国特許庁は、知的財産価値評価を知的財産・技術市場全般に普及させるための戦略作りに本格的に取り組むことを発表した。

知的財産価値評価とは、知的財産の現在または将来の価値を金額や等級などに算定するものであって、最近は知的財産を担保にしたローンや投資などの金融分野において活発に活用されている。ただし、知的財産金融の他、知的財産取引、特許侵害損害賠償および技術流出被害分析などの様々な分野において知的財産価値評価が活用できるにもかかわらず、専門分野別の価値評価モデルが構築されていないため、評価の信頼性について問題が提起されている。

韓国特許庁は、2月24日(金曜)午後2時、韓国知識財産センター19階の大会議室で知的財産価値評価制度の問題点を確認して解決策を作るための「知的財産価値評価普及戦略専門家協議体」を発足した。協議体は、産業界・法曹界・学界などの専門家が集まって、取引・損害賠償・技術流出などの専門分野別の価値評価の争点を発掘し、分野別の知的財産価値評価モデルの開発に向けて研究方向を設定する。協議体で導き出された研究方向などに沿って研究した上で専門分野別の評価モデルを確立させ、人工知能(AI)と専門家の評価を融合した新しい価値評価システム(※)も構築する計画である。
※人工知能(AI)は新しい評価モデルに基づいた基礎評価結果を提供し、専門家は権利性・技術性などの専門家評価を行って最終的な評価額を算定するシステム

韓国特許庁長は「知的財産が企業成長のための投資などの金融分野で広く活用されるにつれて、知的財産価値評価市場も急激に成長している」とし、「韓国特許庁は今年を価値評価システム確立の元年とし、価値評価を知的財産と技術市場全般に普及させるために努力する」と述べた。

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