知的財産ニュース 半導体分野の高熟練専門人材30人、特許審査官としての公職を始める!

2023年2月23日
出所: 韓国特許庁

現場経験豊かなハイキャリア人材を活用して半導体分野の超格差確保を後押しする

  • (合格者A)半導体現場経験豊かな人材を特許審査官として採用するという募集公告の趣旨が大きな魅力と感じられ、エンジニアとして会得したノウハウと多様な経験を活かせる価値のある機会だと思った
  • (合格者B)韓国内の半導体業界の同僚多数が海外に転職している現実を見て、技術流出の問題点と特許の重要性を実感し、半導体超格差最強国の地位を保つのに一助になるために応募した
  • (合格者C)半導体技術の特許が申請から特許登録まで約2年かかるというニュースを聞いて半導体業界の人として非常に残念だった。今や特許審査官に任用され、世界の半導体覇権争いで国の半導体産業を守りたい

韓国特許庁は、「半導体分野専門任期制(ロ級)(※)特許審査官採用」の最終合格者30人を2月23日木曜日に発表した。
※専門任期制(ロ級):専門的な知識や技術などが求められる業務を遂行するために任用される任期制公務員(5級相当)として、最初2年間の勤務後、最大10年まで勤務期間を延長できる

今回の採用は、半導体技術の覇権争いの中、韓国の半導体分野の優秀人材が海外に転職することに伴うコア技術の流出を防止し、彼らの豊富な現場経験と知識を特許審査に活用することで、半導体分野の超格差確保を支援するための国政課題の一環として推進されたものである。

当初、民間に比べて給料が低く、定年が保障されないという任期制公務員の特性上、半導体専門家の応募が低調であろうという多くの懸念もあった。しかし、募集の結果、175人が応募し、6:1の高い競争率を示した。これは、通常2~3:1程度の競争率を示す専門任期制審査官の採用に鑑みて異例の高い数字に当たる。

特許庁は、応募者の能力を深層的に把握するため専門分野別に外部の専門家を評価委員として委嘱し、約2か月間の厳しい書類審査および個別面接を経て、計30人を最終的に選抜したと伝えた。最終合格者の現況を分析したところ、最年長の合格者は60歳、最年少の合格者は41歳で、合格者の平均年齢は53.8歳である。半導体分野の平均経歴23年9か月、修士・博士号の取得率83%、現職者の割合90%に上るほど、最新技術の動向に詳しい半導体分野の高熟練専門人材が選抜された。合格者らは任用後、新規審査官教育などを経て半導体の設計・工程・素材などの細部技術分野別の部署に配属され、特許審査業務を行うことになる。また、審査能力を向上させるため、約2年間メンタリングを受けることになる。

多数の韓国内企業は、特許庁の今回の採用に高い関心を示した。A企業の人事チームは特許庁を直接訪問し、「今回の採用は、半導体企業にとって実質的に役立つ政策であり、1回限りにとどまらず、引き続き推進されることを願う」と述べ、B企業は「半導体分野のみならず、その他先端技術分野にも拡大する必要がある」と提言した。

特許庁は、今回の採用応募者の86%である150人が半導体分野企業出身であり、海外企業経歴者のUターン応募も4人に上るなど、技術流出防止策として同採用の効果が確認されたことを明らかにした。

特許庁次長は、「今回の採用は、尹政権の半導体産業育成政策の一環として推進されたものであり、民間の優秀な退職人材を公共領域に活用する公職人事の新しい実験台でもある」とし、「これを通じて半導体分野コア人材の海外転職を防止し、半導体特許の迅速・正確な審査が行われることを期待する」と語った。

一方、特許庁は、今年の下半期に半導体分野専門特許審査官の追加採用を推進しており、今後、成果をモニタリングしながら行政安全部などと協議し、二次電池などの他の技術分野にも拡大するよう取り組んでいく考えだと伝えた。

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