知的財産ニュース ChatGPTのカギ、「超巨大人工知能」の技術競争が本格化

2023年2月20日
出所: 韓国特許庁

超巨大人工知能関連特許出願、この10年間で28倍成長
サムスン1位・LG10位等、韓国企業が特許出願を主導している

オープンAI社が2022年11月30日に公開した対話型人工知能であるChatGPTが社会的に話題となっている中、ChatGPTの基盤となる超巨大人工知能(※)技術を先取りするための特許競争が激しくなっている。
※機械学習によって決まるパラメータ(人間の脳細胞のシナプス)が無数に多い人工知能

韓国特許庁によると、知的財産権5大主要国(IP5:日・米・欧・中・韓)に出願された超巨大AI関連特許出願がこの10年間(2011~2020)で約28倍(2011年530件→2020年14,848件、年平均44.8%)増加したことがわかった。特に、最近5年間(2016~2020)の年平均増加率は61.3%と出願の増加速度が一層速まったが、2016年のアルファ碁による衝撃以来、AIに対する研究が盛んになった結果とみられる。

出願人を国別に見ると、米国(35.6%、15,035件)、中国(31.0%、13,103件)、日本(11.6%、4,906件)の順であり、韓国は僅差で4位(11.3%、4,785件)に上った。ただし、年平均増加率では韓国(年平均89.7%)と中国(年平均79.3%)が急上昇を示している。特に、韓国は、2011年には年間6件の出願にとどまっていたが、2020年には年間1,912件に上って319倍も急成長し、2019年からは年間出願量で日本を追い抜いた。

超巨大人工知能に対する技術開発の傾向を見てみると、①データ生成技術が69.3%で主となっており、②学習モデル(25.8%)と③特化サービス(16.4%)技術が後に続いた。そのうち、超巨大人工知能のコア技術といえる「学習モデル」関連出願が急速に増加(年平均75.9%)しており、特に、最近5年間(2016~2020)は毎年126.3%ずつ増加していて、この分野の研究開発が特に盛んであることがわかった。

主要出願人を見ると、1位サムスン(1,213件、2.9%)、2位IBM(928件、2.2%)、3位グーグル(824件、2.0%)、4位マイクロソフト(731件、1.7%)、5位百度(572件、1.4%)の順で、グローバルビッグテック企業が上位圏にランクインしている。韓国企業および研究機関では、1位サムスン、10位LG(384件、0.9%)、25位ストラドビジョン(209件、0.5%)、36位電子通信研究院(ETRI)(157件、0.4%)、66位韓国科学技術院(KAIST)(80件、0.2%)等があった。大企業のみならず、中小・ベンチャー企業、研究機関、大学などのさまざまな分野の出願人がグローバルな特許競争力を備えていることがわかった。

超巨大AIに対する特許出願は「企業」を中心(78.7%)に行われていることがわかった。特に、米国(91.2%)と日本(95.4%)は企業の割合が高い。韓国も2011年には50%にすぎなかった企業の出願が2020年には73.6%に増えた。

特許庁の人工知能ビッグデータ審査課長は、「超巨大AIは、川上・川下産業への影響力が大きい技術として、韓国が一段と飛躍するための新成長動力だ」とし、「特許庁は、韓国企業の新技術開発および特許戦略の策定に必要な特許動向の分析を引き続き提供していく計画だ」と述べた。

ジェトロ・ソウル事務所知的財産チーム

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